桂小文吾

五代目 桂小文吾

五代目 桂小文吾（1872年 - 1914年10月）は、明治時代に活躍した落語家です。本名は坂田 種造。

経歴

大阪北堀江の貸座敷「播卯樓」の主人として生まれた五代目小文吾は、幼い頃から芸事に深い関心を持っていました。明治20年代には、錦影絵師である四代目富士川都正に師事し、富士川都若と名乗って独学で稽古に励みました。また、奇術師の初代歸天齋正一が経営する余興屋にも出入りするなど、芸の幅を広げるための努力を惜しみませんでした。

1902年には、桂家都若の名で半玄人として活動を開始し、端席や余興屋でその才能を発揮しました。1903年12月、三代目桂文三に入門し、五代目桂小文吾を襲名。初代桂枝雀が大正派を結成すると、その幹部として活躍しましたが、残念ながら脳を患い、治療の甲斐なく引退を余儀なくされました。

人物

五代目小文吾は、1910年に『食道楽』『絵葉書屋・鰻屋』の2枚のSPレコードをリリースしています。これは、当時の落語界において貴重な記録であり、彼の才能を今に伝えるものです。

また、鼻が高かったことから「天狗」という愛称で親しまれていました。その個性的な風貌と卓越した芸で、多くの人々を魅了しました。

補足

初代から七代目までの桂小文吾の名跡を継いだ人物は以下の通りです。

初代桂小文吾 - 三代目桂文吾の実子
二代目桂小文吾 - 後に二代目桂文三
三代目桂小文吾 - 後に四代目桂文吾
四代目桂小文吾 - 後に四代目桂文三
代外桂小文吾 - 初め二代目桂梅枝の門下
六代目桂小文吾 - 現∶六代目桂文吾
七代目桂小文吾 - 当該項目で記述

参考文献

月亭春松（編)『落語系圖』
『古今東西落語家事典』平凡社、1989年
『ご存じ古今東西噺家紳士録』（CD-ROM）APP、2005年

五代目桂小文吾は、短い生涯ではありましたが、上方落語界に確かな足跡を残しました。その芸と人柄は、今も多くの人々によって語り継がれています。

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