桂正和×鳥山明共作短編集 カツラアキラ

桂正和×鳥山明 共作短編集 『カツラアキラ』

『カツラアキラ』は、人気漫画家の桂正和と鳥山明が手を組んだ短編集です。本書では、2つの異なる作品が収められており、その名は『さちえちゃんグー!!』と『JIYA -ジヤ-』です。これらの作品は、共に特異な世界観と個性的なキャラクターを持ち、両作家の創造力を余すところなく発揮しています。

1. 『さちえちゃんグー!!』の概要

『さちえちゃんグー!!』は、鳥山明が原作を手がけ、桂正和が漫画を担当した読切作品です。この作品は、2008年の『ジャンプスクエア』創刊一周年を記念して刊行され、全53ページからなる内容となっています。特筆すべきは、初めの3ページがカラーであることや、鳥山の意向でレトロな作風が採用された点です。

物語は、日本の里山に住む女子中学生、さちえを主人公にし、彼女が宇宙人の助けを借りながら格闘大会のチャンピオンを捕まえに行くという冒険を描いています。さちえは忍者の子孫であり、強い人物に成長する過程が魅力的です。彼女が信頼する若き格闘家ザリドと共にオクト星に向かう姿には、友情や勇気が色濃く表れています。

登場人物たちは、個性豊かであり、特にオクト星人たちは、力強い見た目とは裏腹に平和主義者である点が面白いです。物語の中では、恐ろしい悪党ミル一味との戦いが描かれ、軽快なテンポで進行します。

2. 『JIYA -ジヤ-』の概要

続いて『JIYA -ジヤ-』は、鳥山明が原作、桂正和が漫画を手がけたSF作品です。この作品は、2010年に『ヤングジャンプ』に掲載され、全3回から構成されています。『さちえちゃんグー!!』との共通点は、銀河パトロールの設定が根底にあり、物語は吸血鬼との戦いが中心です。

主人公ジヤは銀河パトロール隊員で、真面目ながらも天然な一面があります。彼のデザインは、桂が先に描いた銀河パトロール隊員をモデルにしています。この作品では、日本の1960年代から70年代のファッションや街並みが特徴的であり、作品を通じて懐かしさやユニークな文化を感じることができます。

物語の中心にバンパという吸血鬼が存在し、彼の存在が地球に及ぼす影響や、主人公たちがいかにして彼に立ち向かうのかが描かれます。特に、ジヤが自らのスーツのエネルギーを切らしながらも、酔拳を使って立ち向かうシーンが印象的です。

3. まとめ

『桂正和×鳥山明 共作短編集『カツラアキラ』は、二人の異なるスタイルが融合した珠玉の作品です。『さちえちゃんグー!!』ではアクションとコメディの要素が際立つ一方、『JIYA -ジヤ-』ではダークな雰囲気の中に深い人間ドラマが見え隠れします。これらの作品は、単独で楽しむのも良いですが、両者のコラボレーションを通じて新たな視点を持つことができるでしょう。ファンであればこの短編集を手に取り、彼らの創造的な冒険を楽しんでほしいと思います。

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