桂米平

桂米平：上方落語を彩る大らかで温かい語り部

桂米平は、1962年8月22日、大阪府豊中市に生まれました。本名は平岡孝夫。1981年3月21日、上方落語の巨匠、3代目桂米朝に入門。同年6月、東山安井金比羅会館での「桂米朝落語研究会」にて華々しく初舞台を踏みます。

米朝事務所に所属し、上方落語協会会員として活躍する米平は、その芸名にも師匠への敬意が感じられます。「米平」は、師匠である米朝の「米」と、本名の平岡の「平」から一文字ずつ取られたものなのです。

舞台上では、軽妙洒脱な語り口と、持ち前の温かい人柄で観客を魅了します。落語家としての活動にとどまらず、子供向けの落語会にも積極的に参加し、次世代へ上方落語の魅力を伝えています。さらに、独特の才能を発揮するのが「立体紙芝居」です。絵を描くことも得意とする米平は、その創造性を活かし、子供たちに新たな楽しみ方を提供しています。

その人となりは、エピソードからも垣間見ることができます。師匠である米朝が兄弟子の米二に稽古をつけている際、見学中だった米平は足がしびれて立ち上がれず、思わず米朝の顔にしがみついてしまったという、微笑ましい逸話が残されています。また、初代桂春団治が考案したとされる「煎餅でできたレコード」が入っていたという、珍しい空き缶をオークションで落札したというエピソードも、彼の蒐集家としての面をのぞかせます。

落語界での存在感も確かなものです。露の棗（露の都門下の女流）が米平に似ていると言われるほど、その風貌は広く知られています。棗からは「落語界の父」と呼ばれるほど、慕われています。

彼の活動は多岐に渡ります。NHK教育テレビ「てれび絵本『えほん寄席』シリーズ」への出演経験や、『落語ワンダーランド 子どもと大人の落語入門』シリーズ（喜迴舎）での著書出版など、メディアを通して落語の魅力を発信し続けています。同シリーズでは、『犬の目』、『つる』といった作品を世に送り出し、老若男女問わず多くの読者に親しまれています。

100kgを超える体重、入門当時の愛称「平やん」、そして寄席文字書きという特技も、彼の個性豊かなキャラクターを彩る要素です。

桂米平は、その卓越した話術と人柄で、上方落語界に欠かせない存在として、これからも多くの人々に笑いと感動を与え続けることでしょう。その活動は、単なる落語家としての枠を超え、上方落語文化の継承と発展に大きく貢献しています。彼の今後の活躍から目が離せません。

もう一度検索