桃園の誓い

桃園の誓い

桃園の誓い（とうえんのちかい）は、『三国志演義』に登場する有名なエピソードです。劉備、関羽、張飛の三人が桃園で義兄弟の契りを結び、互いに助け合い、共に生きていくことを誓い合ったという物語です。

物語の概要

物語は、後漢末期の混乱期、黄巾の乱が発生した頃に始まります。義兵を募る高札の前で、劉備が世の乱れを嘆いていると、そこに張飛が現れます。張飛は劉備の志に共感し、共に立ち上がることを提案します。二人は酒場で、立派な髭を生やした関羽と出会い、意気投合します。

三人は張飛の屋敷の裏にある桃園で、兄弟の誓いを立てます。長兄を劉備、次兄を関羽、末弟を張飛とし、困難を乗り越え、民を救うことを誓い合いました。この誓いの後、彼らは同志を募り、義勇軍を結成します。しかし、軍馬が不足していることに気づきますが、そこに馬商人の張世平と蘇双が現れ、馬や軍資金を提供してくれます。劉備は雌雄一対の剣、関羽は青龍偃月刀、張飛は蛇矛を鍛冶屋に作らせ、500人の手勢を率いて、劉焉のもとに駆けつけ、黄巾賊討伐に貢献していくことになります。

誓いの言葉

演義では、彼らの誓いの言葉が以下のように描写されています。

「我ら三人、生まれし日、時は違えども兄弟の契りを結びしからは、心を同じくして助け合い、困窮する者たちを救わん。上は国家に報い、下は民を安んずることを誓う。同年同月同日に生まれることを得ずとも、同年同月同日に死せん事を願わん。皇天后土よ、実にこの心を鑑みよ。義に背き恩を忘るれば、天人共に戮すべし。」

史実との違い

正史である『三国志』には、桃園の誓いに関する記述はありません。これは、あくまで『三国志演義』における創作であると考えられています。しかし、劉備が関羽と張飛に兄弟のような愛情を注ぎ、関羽と張飛が劉備を支え続けたという事実は、史実として存在します。演義の作者は、これらの史実を基に、桃園の誓いという物語を創作したと考えられます。

その他の説

中国の民間伝承である柴堆三国では、兄弟の順位を決めるのに桃の木に最も高く飛びついた者が兄になるというユーモラスなエピソードが存在します。
また、花関索伝では、劉備、関羽、張飛は子牙廟で義兄弟の契りを結んだとされています。この際、関羽と張飛は互いの家族を殺そうとしたという、過激な描写も存在します。

後世への影響

桃園の誓いは、友情や忠誠心の象徴として、後世の様々な作品に影響を与えました。例えば、横山光輝の漫画『三国志』や、パチンコ台の演出などにも登場しています。

桃園の誓いは、単なる物語ではなく、人々の心を捉え、語り継がれる普遍的なテーマを内包していると言えるでしょう。

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