桃太郎伝説II

『桃太郎伝説II』：愛と勇気、そして仲間たちとの冒険の物語

1990年12月22日、ハドソンよりPCエンジン用ソフトとして発売された『桃太郎伝説II』は、多くのゲーマーを魅了した名作RPGです。監督はさくまあきら氏、イラストは土居孝幸氏、そして音楽はサザンオールスターズの関口和之氏と、豪華なスタッフ陣によって制作されました。

本作は、前作『桃太郎伝説ターボ』（PCエンジン版）の正統な続編として位置付けられています。『ターボ』自体は、1987年にファミリーコンピュータで発売された『桃太郎伝説』のリメイク版ですが、『桃太郎伝説II』では『ターボ』を前作として物語が展開します。

鬼ヶ島の脅威と新たな仲間たち

物語は、桃太郎が鬼ヶ島で閻魔大王を退治してから3年後を舞台としています。平和を取り戻したかに見えた世界に、新たな脅威が忍び寄ります。鬼ヶ島の地下深くに潜む、鬼族の王・地獄王の陰謀により、鬼たちが人間の世界へ侵攻を開始したのです。

かつての戦いで得た力を封印し、普通の少年として生活していた桃太郎は、再び人々の平和を守るため、鬼退治の旅に出る決意をします。旅の道中では、おなじみの犬、猿、雉に加え、金太郎、浦島太郎、そして地獄王の娘である夜叉姫など、個性豊かな仲間たちが桃太郎に加わります。

仲間との出会いと別れ、そして幾多の困難を乗り越え、桃太郎は最終的に地獄王へと立ち向かうのです。

システムとゲーム性

『桃太郎伝説II』最大の特徴は、前作からの大きな変更点である「パーティ制」の導入です。前作では桃太郎一人での冒険でしたが、本作では最大20人の仲間と共に旅をすることができます。

戦闘は前作の1対1形式から多対多形式へと進化。仲間たちと協力して、様々な鬼たちと戦います。コマンドは「たたかう」「じゅつ」「どうぐ」「にげる」に加え、「まもる」「かばう」「オート」「あんばい」が追加され、戦略性の高い戦闘が楽しめます。

術の習得は、各地にいる仙人から修行を受けることで可能になります。修行内容は多種多様で、「仙人との戦闘」「料理クイズ」「お使い」など、バラエティに富んだ内容となっています。また、術は段階的に成長し、威力が向上したり、効果範囲が広がったりします。

アイテム管理は全員共通で、所持数は仲間の数に応じて増加します。武器や防具の売買には下取りシステムが導入され、スムーズなアイテム管理が可能です。パスワードによるセーブデータ管理は廃止され、バックアップシステムに一本化されました。

和風の世界観と個性豊かな舞台

『桃太郎伝説II』の世界観は、日本の昔話や、イソップ寓話、中国神話などをモチーフとした、独特の和風ファンタジーです。前作と同様に、様々な昔話にちなんだ村やダンジョンが登場します。

『かちかち山』を舞台としたカチカチの村、『分福茶釜』の茶釜村、『花咲か爺』の花咲かの村など、懐かしい昔話の世界を冒険できます。さらに、本作で初登場となる村やダンジョンも多数追加され、探索の楽しみが増しています。

そして、「桃太郎セブン」

実は『桃太郎伝説II』は、当初「桃太郎セブン」というタイトルで、SF的な設定のゲームとして開発がスタートしていました。主人公は桃太郎ではなく、別の少年でした。しかし、開発途中で前作のコンセプトとのずれが指摘され、主人公を桃太郎に戻し、和風の世界観に方向転換することになりました。

この「桃太郎セブン」版は開発中止となりましたが、その経緯は、本作の攻略本などに記されています。

まとめ

『桃太郎伝説II』は、前作の魅力を継承しつつ、新たな要素を加えることで、シリーズの新たな境地を開拓した名作です。仲間との友情、愛と勇気、そして和風の世界観が織りなす、壮大な冒険は、多くのゲーマーの心を掴んで離しません。

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