桃姫BAND

桃姫と桃姫BAND：尾崎亜美のロック魂

1980年代後半、日本の音楽シーンで活躍したシンガーソングライター、尾崎亜美は、ソロ活動を一時休止することを発表。その矢先、1989年12月、彼女は新たな名義「桃姫」でシングル「桃源郷（PEACH PARADISE）からコンニチハ」をリリースしました。この曲は、サントリーのフルーツリキュール「ミス・ピーチ」のCMソングとして起用され、大きな話題を呼びました。

この「桃姫」プロジェクトを経て、1992年、尾崎亜美を中心に豪華なメンバーが集結し、ロックバンド「桃姫BAND」が結成されます。

バンドの中心人物であるボーカリスト兼コーラスは、もちろん尾崎亜美。そして、その音楽性を支えるメンバーは、日本の音楽史に名を刻む錚々たる面々でした。ドラムスには山木秀夫、ベースとコーラスには小原礼、ギターには鈴木茂と今剛、キーボードには富田素弘と佐藤準、そしてコンピューター・プログラミングには松武秀樹と、まさに夢の競演と言えるラインナップです。

1992年7月7日、桃姫BANDはシングル「HEART OF GLASS」でデビューを飾ります。この曲は、アメリカのロックバンドBlondieの代表曲のカヴァーで、ノエビアのコスメティックルネッサンスのCMソングとして使用されました。力強くも繊細な歌声と、個性の光る演奏陣によるアレンジは、多くのリスナーを魅了しました。

同年12月には、洋楽カバーを中心としたアルバム『初陣』をリリース。選曲のセンス、そして各メンバーの演奏力の高さ、そしてなにより尾崎亜美の歌唱力が際立つ作品となりました。

さらに、1993年11月には、ビートたけし原作の映画『教祖誕生』の主題歌「神様お願い」（ザ・テンプターズのカバー）をシングルとして発表しました。この作品には、映画音楽を担当した元チェッカーズの藤井尚之がサックスで参加。映画の世界観と見事に融合した楽曲となっています。

しかし、このシングルリリースをもって、桃姫BANDの活動は事実上停止することとなります。わずか1年ほどの活動期間でしたが、その間に残した作品は、日本の音楽史における重要な一ページとして、現在も多くのファンに愛され続けています。

桃姫BANDは、尾崎亜美のソロ活動とはまた異なる魅力を放つ、唯一無二のロックバンドでした。豪華なメンバーによる演奏、そして尾崎亜美の圧倒的な歌唱力、そして洗練された楽曲の数々は、今もなお多くの音楽ファンを魅了し続けています。短い活動期間ではありましたが、彼女たちが残した音楽は、時代を超えて輝き続けています。

桃姫、そして桃姫BANDの活動は、尾崎亜美というアーティストの多様な魅力の一端を示すものであり、日本の音楽シーンに大きな影響を与えたことは間違いありません。彼女たちの音楽は、これからも多くのリスナーに感動と興奮を与え続けるでしょう。

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