桓王

桓王（かんおう）

桓王は、古代中国の周王朝における第14代の王であり、その治世は周王朝の衰退を象徴する出来事に満ちています。父である太子洩父（せつほ）は、桓王が生まれる前に亡くなっていたため、桓王は王太孫として育てられました。祖父である平王が崩御した後、王位を継承し、周王朝の王となりました。

王権強化への試み

桓王は即位後、諸侯の力を削ぎ、王権を強化する政策を推し進めました。しかし、この政策は諸侯の反発を招き、周王朝の権威をさらに弱める結果となりました。特に、鄭との関係悪化は、桓王の治世における大きな出来事として記録されています。

鄭との対立

周と鄭の領地が隣接していたことが、両者の対立の火種となりました。鄭が境界線を越えて黍（きび）を収穫したことを理由に、桓王は鄭の荘公（そうこう）を卿士（けいし）の職から罷免しました。荘公はこの処置に不満を抱き、周王朝への朝見を一切拒否しました。これにより、周と鄭の関係は決定的に悪化しました。

繻葛の戦い

前707年、桓王は鄭への報復として、蔡（さい）、衛（えい）、陳（ちん）の諸侯と連合して鄭を攻撃しました。しかし、この戦い（繻葛の戦い）で周の連合軍は鄭軍に大敗を喫してしまいました。この敗戦は、周王室の軍事力の衰退を諸侯に露呈させることとなり、周王朝の権威失墜を決定づける出来事となりました。

周王朝の衰退

桓王は王権の強化に努めましたが、結果として周王室の衰退を食い止めることはできませんでした。諸侯間の紛争を調停する力も失われ、周王朝の求心力は著しく低下しました。

後継者争い

紀元前697年、桓王は崩御し、息子の姫佗（きた）が荘王（そうおう）として王位を継承しました。しかし、桓王は末子の儀叔克（ぎしゅくこく）を溺愛しており、荘王の即位後、王族の周公黒肩（しゅうこうこくけん）が儀叔克を擁立して反乱を起こし、兄弟間で王位を争う内紛に発展しました。この内紛は、周王朝の衰退をさらに加速させる要因となりました。

桓王の評価

桓王の治世は、周王朝の衰退が顕著になった時期として捉えられています。王権強化の試みは失敗に終わり、諸侯との関係悪化、軍事力の衰退、後継者争いと、数々の問題が噴出しました。彼の治世は、周王朝が力を失い、春秋時代へと移行していく転換期であったといえるでしょう。

もう一度検索