桜の時

2000年2月17日、シンガーソングライターaikoの5枚目のシングル『桜の時』が、ポニーキャニオンより発売されました。前作「カブトムシ」からわずか3ヶ月という短いスパンでのリリースで、2000年最初のシングル作品となりました。

特徴的なのは、その発売日です。CDの発売日は水曜日が一般的ですが、『桜の時』は木曜日に発売されました。さらに、初回生産分は20万枚限定という、当時のシングルとしては異例の措置が取られました。そのため、一部地域では入手困難になり、多くのファンが手に入れるのに苦労したというエピソードも残っています。

ジャケットデザインも非常にユニークです。aikoのシングルとしては唯一、aiko本人の写真は使用されていません。代わりに、aiko自身の手によるイラストが描かれています。表紙には女の子が、そして裏表紙にはブランコと虹が描かれており、優しいタッチの絵柄が楽曲の世界観を表現しています。ジャケットと歌詞カードには和紙が使用され、文字は縦書きの行書体で書かれており、ピンクのカラートレイ仕様という、細部までこだわった作りとなっています。

『桜の時』は、カルピス乳酸菌飲料「カルピスウォーター」のCMソングとして起用されました。「花火」「桃色」に続く、3作連続のCMタイアップとなり、aikoの知名度をさらに高めることとなりました。

カップリング曲にも注目です。「アイツを振り向かせる方法」は、aikoが学生時代に作った曲で、ライブツアー「Love Like Pop Vol.24」日本武道館公演で、aiko本人が自身の最初期の作品だと明かしました。若かりし頃のaikoの感性が感じられる、貴重な楽曲と言えるでしょう。もう一つのカップリング曲「more&more」は、学生時代に友人と制作したオムニバスCD『ドーテイオムニバスCD Vol.1』に収録されていた楽曲を、新たにレコーディングしたものです。原曲はピアノの弾き語りでしたが、シングル収録にあたり、より洗練されたアレンジが施されています。

全曲の作詞・作曲はaiko、編曲は島田昌典が担当しました。aikoの持ち味である繊細な歌詞と、心に響くメロディーが、聴く人の心を優しく包み込む、そんな1枚となっています。

『桜の時』は、aikoの音楽的才能と、独自のこだわりが凝縮された、まさに記念碑的なシングルと言えるでしょう。限定生産という希少性も相まって、多くのファンにとって、特別な思い入れのある作品となっています。発売から年月が経った現在でも、根強い人気を誇る名曲です。

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