ドーテイオムニバスCD Vol.1

ドーテイオムニバスCD Vol.1：自主制作盤から生まれた奇跡

1996年、1000枚限定で発売された自主制作オムニバスアルバム『ドーテイオムニバスCD Vol.1』。この作品は、後に数々のヒット曲を世に送り出すaikoが参加していたことでも知られています。2000円の価格で販売されたこのCDは、その後のaikoの活躍により、今では入手困難なプレミアムアイテムとなっています。

aiko参加の意義：初期作品の魅力とシンプルなサウンド

当時、大阪音楽大学短期大学部ポピュラー・ヴォーカル学科に在学していたaikoは、本アルバムで3曲を提供しています。「MORE&MORE」、「AB型の二人」、「あの子へ」の3曲は、バンド形式の楽曲が多いアルバムの中で、ボーカルとピアノだけのシンプルな構成で、彼女の透明感のある歌声が際立っています。ピアノ演奏を担当したのは、aikoの大学の友人である本田英絵。このシンプルなアレンジは、aikoのソングライティング能力と、彼女の音楽的ルーツを垣間見れる貴重なものです。アーティスト名は「AIKO」と表記されています。

多彩なアーティストと音楽性

本アルバムには、aiko以外にも様々なアーティストが参加しています。その中には、後にTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDとして、数多くのアニメ作品や楽曲制作で活躍するTECHNOBOYSも含まれています。他の参加アーティストも、それぞれ個性豊かな音楽性を持ち、多様なジャンルの楽曲が収録されている点が、このアルバムの魅力です。例えば、バンド形式で演奏するグループや、他のシンガーソングライターなど、様々なスタイルが共存しています。

制作秘話：自主制作ならではの苦労とエピソード

このアルバムは、アーティストたちによる共同自主制作で行われました。制作には多くの苦労がありました。参加メンバーの一人である上政さんは、自費で約8万円を負担し、250枚分のCDケースの手配を行いました。aiko自身も、歌詞カードやCDの梱包作業に携わったそうです。また、ジャケットの帯には「このCDをかってにテープに録って売ったりせんといて下さい（どうせ売れません）」というユーモラスな注意書きが書かれていましたが、aikoのブレイク後には、このCDのコピーがオークションサイトに出品されるなど、予想外の事態も起こりました。本アルバムは海外プレスによるCD-DAであり、CD-R版は存在しないことも特筆すべき点です。

関係者たちの証言とその後

元くるりのドラマーである森信行さんは、参加メンバーの上政さんと知り合いであり、このCDを購入していたとのことです。このアルバムに参加したアーティストたちは、その後も音楽業界で活躍を続け、特にaikoの成功は、この自主制作盤の価値をさらに高める結果となりました。また、本アルバムの続編として『ドーテイオムニバスCD Vol.2』もフリフリ参加のもとリリースされています。

まとめ：時代を超えて愛される作品

『ドーテイオムニバスCD Vol.1』は、自主制作ならではの苦労と、参加アーティストたちの熱意が詰まった作品です。特にaikoの初期作品を聴くことができる貴重な機会であり、彼女の音楽的ルーツを知る上でも重要なアルバムと言えます。限られた数しか存在しないレアアイテムとしての価値も高く、音楽史における重要な位置を占める作品と言えるでしょう。音楽ファンにとって、発見と感動に満ちた、まさに「奇跡」のような一枚です。

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