桜弾

桜弾（さくらだん）について

桜弾は、日本陸軍が太平洋戦争の最中に開発した特攻用の航空機用爆弾です。特に対艦攻撃に特化した設計で、実戦においても使用されました。この兵器は、日本の航空機戦術の一環として発展し、特攻という独特な戦法において重要な役割を果たしました。

特徴

桜弾の直径は約1.6メートル、重さは2.9トンという大型爆弾です。この爆弾は、航空機に搭載されて自ら敵艦に体当たりすることで爆発するため、その使用は特に危険で過酷でした。爆発の威力は、前方3キロメートル、後方300メートルにわたり影響を及ぼすことが想定されており、直接の衝撃のほか、爆風により周囲の敵に大きな損害を与えることが期待されていました。

桜弾が搭載された航空機は、四式重爆撃機として知られる機体で、その中でも特に桜弾機（キ167）と名付けられたものが使用されました。これは、日本海軍が使用した爆撃機の中でも大きなサイズを誇り、特攻任務に適した設計がなされていました。

歴史

桜弾の開発は1944年5月に始まり、第三陸軍航空技術研究所に特別研究班が設立されました。この研究班は、所長の正木博が統括し、桜弾の研究は進められました。また1944年9月5日には陸海軍技術運用委員会が設置され、桜弾を含む特殊奇襲兵器の研究が陸軍、海軍、さらには外部の研究機関によって行われました。このため、桜弾は陸軍と海軍両方の技術が集結した結果として生まれた兵器と言えるでしょう。

桜弾の完成は1945年4月でしたが、その使用機種は四式重爆撃機に限定されました。このため、実際に使用された数は限られており、多くの桜弾が戦局の変化により投入されることはありませんでした。しかし、一部は沖縄戦において、特攻機（キ-167）として運用され、当時の戦況に影響を与えたと言われています。

関連項目

桜弾と関連がある航空機としては、桜花（航空機）があります。桜花もまた特攻兵器として開発され、桜弾と同様の運用目的を持っていました。

参考文献

桜弾について詳しい情報を得るためには、戦史叢書第87巻「陸軍航空兵器の開発・生産・補給」が有用です。ここでは、桜弾の開発過程や戦況、運用実績が記されています。

桜弾は、戦争の中で生まれた特異な兵器であり、その背景や使用法を知ることで、当時の日本陸軍の戦略や思想を深く理解することができるでしょう。

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