桜通信

桜通信

『桜通信』は、遊人による日本の漫画作品で、小学館の漫画雑誌『週刊ヤングサンデー』にて1995年から2000年まで連載されました。全20巻の単行本が発売されており、OVA（全12話）やセガサターン用ゲームソフトとしても展開されています。

あらすじ

物語は、主人公である浪人生の因幡冬馬が、慶應大学を目指して浪人生活を送る様子を中心に展開します。受験のために東京のホテルに滞在していた冬馬は、幼なじみの女子高生・春日麗と再会します。実は、麗は幼い頃から冬馬に好意を抱いており、再会を喜びますが、冬馬は麗に気付かず追い返してしまいます。その後、冬馬は慶應大学の受験会場で、美貌の女性・四葉美咲子に一目惚れします。しかし、受験に失敗した冬馬は、美咲子に合格したと嘘をつき、慶大生になりすまして美咲子に近づこうとします。

一方、冬馬は叔父の家で浪人生活を送ることになり、そこで再び麗と再会し、共同生活を始めることになります。こうして、冬馬、麗、美咲子の三角関係が始まり、さらに麗の親友である夏樹香美や、美咲子に想いを寄せるエリート大学生・摩周達彦など、個性的なキャラクターたちが物語を盛り上げていきます。

登場人物

因幡冬馬（いなば とうま）

本作の主人公。大学受験に失敗した浪人生で、浪人中は美咲子のいる慶應義塾大学を第一志望にしています。女性の容姿にこだわり、特に胸の大きさに執着する一方、自身の容姿には無頓着な面があります。性格は軽薄で、女性関係もだらしなく、しばしば周囲を振り回します。作中では、彼のモノローグによって物語が語られます。

春日麗（かすが うらら）

メインヒロイン。冬馬の従妹で、東京の女子高生。幼い頃の出来事がきっかけで冬馬に好意を抱き続けています。自己犠牲的な性格で、冬馬に対して過剰なまでに尽くしますが、その想いはなかなか報われません。過去のトラウマから自己肯定感が低く、リストカットをしていた過去もあります。最終的に上智大学に再合格するも、脳腫瘍により目が見えなくなり、父親とイタリアへ帰国します。

四葉美咲子（よつば みえこ）

もう一人のヒロイン。慶應義塾大学の文学部に通う良家のお嬢様。絶世の美女ですが、等身大の女性として振る舞おうとします。冬馬とは、大学受験で出会い、彼の嘘に気付いていません。許嫁がおり、最終回では彼と結婚します。

夏樹香美（なつき こうみ）

麗の親友。高学歴やブランドにこだわる性格で、冬馬を快く思っていません。摩周に利用され、最終的に風俗嬢として働きますが、麗との友情は大切にしています。

鵠沼直美（くげぬま なおみ）

冬馬が通う予備校の数学講師兼チューター。受験生には恋愛不要論を唱えますが、実は同性愛者で男性不信です。

その他

• - 山田めぐみ：冬馬の予備校の同級生で、鵠沼の指示で痴漢被害をでっち上げます。
• - 秋本美寿紀：麗が働くデートクラブの女性で、白血病を患っています。
• - 秋本浩司：美寿紀の兄で、冬馬の予備校の同級生。
• - 大戸美穂：病院の美人ナースで、浩司に一方的に好意を抱いています。
• - 清水桃恵：冬馬の幼なじみで、性的虐待を受けています。
• - 小岩井悦子：冬馬の予備校の受付嬢で、冬馬を弄びます。
• - 林葉琴美：麗に執着する女子高生。レズの気があります。
• - 堀田美枝子：冬馬の予備校の同級生。眼鏡を外すと美人です。
• - 朝比奈りん子：冬馬の予備校の同級生。HSSに暴行されます。
• - 摩周達彦：美咲子に想いを寄せる慶大生。歪んだ性格の持ち主です。
• - 風間隆一：麗の幼なじみで、家庭教師。麗の父親に冬馬の情報をチクります。
• - 伊吹丈：冬馬の予備校の講師。塾を経営しています。
• - 土田拓也：冬馬の予備校の同級生。あだ名は184。

OVA

1997年に発売されたOVAは、全12話で、以下のようなサブタイトルがつけられています。

1. 東京サクセス
2. いとこはブルセラ女子高生
3. ニセ学生は恋の奴隷？
4. 誘惑のラブ・ホテル
5. はじめてのベッドイン？
6. ファーストラブ鎌倉
7. 恋のトライアングル
8. 美咲子の告白
9. 雨の中でファーストキス
10. 二人のバスルーム
11. 受験生シンドローム
12. 受験生の決断

作品の特徴

『桜通信』は、大学受験を題材にしながらも、主人公の恋愛模様や、登場人物たちの複雑な人間関係を描いた作品です。特に、主人公の冬馬の軽薄な性格や、女性関係のルーズさ、自己中心的な行動は、読者の間で賛否両論を呼びました。また、ヒロインの麗や美咲子をはじめ、個性的なキャラクターたちが織りなすドラマは、作品の大きな魅力となっています。

関連事項

• - 大学受験
• - 成年コミック

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