梁思成

梁思成（りょう しせい）：中国建築学の先駆者

梁思成（1901年4月20日 - 1972年1月9日）は、中国近代建築史における重要な人物であり、建築史家、建築家として多岐にわたる功績を残しました。彼は、日本の神戸市で生まれ、後に中国へ帰国し、中国の伝統建築の研究と保護、そして近代的な都市計画に大きく貢献しました。

生涯

梁思成は、戊戌の変法後に日本へ亡命していた梁啓超の子として神戸で生を受けました。幼少期を日本で過ごした後、辛亥革命後に中国へ帰国。清華学校を経て、アメリカのペンシルベニア大学建築学科で建築を学びました。ハーバード大学大学院では中国建築を研究し、帰国後は東北大学で建築学科を創設、北京大学や清華大学でも教鞭を執りました。

彼は、中国の伝統建築の構造と規則を現代科学技術の観点から解釈し、中国初の著作となる『清式営造則例』を著しました。また、『中国建築史』の原稿を完成させるなど、研究者としても卓越した才能を発揮しました。

中華人民共和国成立後は、北京の都市計画にも携わり、人民英雄紀念碑の設計などを行いました。しかし、文化大革命の際には「反動学術権威」として批判の対象となり、党籍を剥奪されるなど不遇な時期も過ごしましたが、後に党籍を回復し、その生涯を閉じました。

業績

梁思成の業績は多岐にわたりますが、特に以下の点が重要です。

中国伝統建築の研究と保護: 彼は、中国各地の古建築を調査・実測し、その保存に尽力しました。山西省の仏光寺正殿の発見は、唐代の木造建築として非常に重要な発見でした。
建築教育: 東北大学をはじめとする大学で建築学科を創設し、後進の育成に力を注ぎました。
著作活動: 『清式営造則例』や『中国建築史』など、中国建築に関する重要な著作を数多く発表しました。
都市計画: 北京の都市計画に携わり、人民英雄紀念碑の設計などを行いました。
文化財保護: 第二次世界大戦中には、日本の京都と奈良の歴史的建造物を空爆から守るよう米軍に進言したという説があります。

デザイン作品

王国維記念碑（1929年）
梁啓超の墓（1929年）
吉林大学礼堂・教学楼（1929年）
北京大学地質館（1934年、林徽因との合作）
人民英雄紀念碑（1952年）

著作

『清式営造則例』（1934年）
『中国建築史』（2005年）
『中国彫塑史』（1997年）

門下

羅哲文
* 陳占祥


梁思成は、中国の建築界に多大な影響を与えただけでなく、文化財保護の重要性を訴え、後世に貴重な遺産を伝えることに貢献しました。彼の研究と実践は、現代中国建築の発展に不可欠な基盤となっています。

彼の生涯は、激動の時代における知識人の苦悩と、それでもなお自身の信念を貫き、文化の発展に貢献しようとした姿を私たちに教えてくれます。梁思成の功績は、今後も長く語り継がれることでしょう。

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