梁錦松

梁錦松（アントニー・リョン、Antony, LEUNG Kam Chung、1952年生まれ）は、香港の政治家、実業家であり、かつて財政司司長を務めた人物です。彼は、董建華行政長官の側近として知られ、そのキャリアは銀行業界から政界へと大きく転換しました。

生い立ちと初期のキャリア

梁錦松は、香港大学在学中に学生運動に参加し、日本の尖閣諸島領有反対運動などにも関わりました。この時期には、中国共産党や毛沢東に傾倒する「国粋派」の一員と見なされていました。大学卒業後、彼はハーバード大学で経営学を学び、銀行業界でキャリアを積み重ねました。チェース・マンハッタン銀行やJPモルガン銀行などの大手金融機関で要職を歴任し、その手腕を発揮しました。

政界への転身

梁錦松は、董建華行政長官が率いる香港政府において、行政会議のメンバーに任命されたことで政界入りを果たしました。行政会議では、中文教育の推進や334学制への移行といった教育改革を主導しました。その後、2001年には財政司司長に任命され、香港の財政運営を担う重要な役割を担いました。

レクサスゲート事件と辞任

しかし、梁錦松の政界でのキャリアは、2003年に発生した「レクサスゲート事件」によって暗転しました。この事件は、彼が自動車登録税の値上げを発表する直前に、レクサスブランドの高級車を購入したことが暴露されたものです。この行動は、利益相反にあたると批判され、世論の強い反発を招きました。廉政公署が捜査に乗り出す事態となりましたが、最終的に不起訴処分となりました。しかし、この事件の責任を取る形で、梁錦松は財政司司長を辞任せざるを得ませんでした。

その後の活動

財政司司長辞任後、梁錦松は再び実業界に戻り、香港'>[DBS銀行]のCEOやブラックストーン・アジアオフィスの代表などの要職を歴任しました。また、公的な活動としては、香港の大学や教育機関の運営にも携わっています。

家族

私生活では、2002年10月に元中国オリンピック代表の飛込選手である伏明霞と結婚し、3人の子供をもうけています。この結婚も当時大きな話題となりました。

その他の経歴

香港先物取引所理事 (1987年 - 1990年)
空港管理局理事 (1990年 - 1998年)
大学教育資助委員会主席 (1993年 - 1998年)
外為基金諮詢委員会委員 (1993年 - 2001年)
教育統籌委員會主席 (1998年4月 - 2001年4月)
行政会議非官職メンバー (1997年7月 - 2001年4月)
* JPモルガン銀行アジア太平洋地区代表 (2000年 - 2001年)

梁錦松は、香港の政界と実業界の両方で重要な役割を果たした人物であり、そのキャリアは波乱に満ちたものでした。彼の経験は、香港の政治と経済の変遷を理解する上で重要な視点を提供しています。

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