梅ヶ谷藤太郎 (初代)

梅ヶ谷藤太郎の生涯と業績

梅ヶ谷藤太郎（うめがたにとうたろう）は、1845年3月16日、筑前国上座郡志波村梅ヶ谷に生まれました。彼の本名は小江藤太郎であり、相撲界では第15代横綱として知られています。幼少期から「怪童」として名を馳せ、特異な成長を遂げました。彼は酒を好むという不思議な嗜好を持っており、7歳で大坂相撲に取り上げられ、「梅ヶ枝」という名前で始まりました。その後、湊部屋に入門し、地元を表す「梅ヶ谷」という四股名を名乗ることになりました。

日本相撲界の大スター

梅ヶ谷は明治維新後の1869年3月、大坂相撲の新入幕で小結となり、1870年3月には大関に昇進します。彼の成績は21勝2敗2分と素晴らしいもので、浪花随一の強豪力士として名を馳せていました。しかし、1870年末に東京相撲に転籍し、玉垣部屋に落ち着きます。そこで彼は注目を浴びつつ、一気に数々の戦績を残しました。

特に、1874年12月場所での新入幕では8勝1分の優勝相当成績を挙げるなど、その実力を証明します。1876年には福岡県で興行中に秋月の乱に直面。力士として初めて戦闘に加わり、周囲を平定する一助となったのです。1877年には小結、12月場所では関脇に昇進、共に全勝の偉業を成し遂げました。

横綱免許と天覧相撲

1880年5月場所にて全勝を達成した梅ヶ谷は、同年の2月に横綱免許を授与されます。彼は吉田司家の免許を望み、その後の師家争いでも影響を持つこととなりました。1884年3月、明治天皇の天覧相撲での対戦は特に有名で、この際に大達羽左エ門との戦いが繰り広げられました。この試合は30分にも及ぶ熱戦の末、引き分けとなり、天皇から称賛されるに至ります。この一戦は、明治時代の相撲人気を大きく引き上げるきっかけとなりました。

引退後の活動

1885年になると、梅ヶ谷は引退を決意し、自ら髷を切ります。その後は年寄・雷を襲名し、東京大角力協会の最高職である取締として力士の育成に尽力しました。彼の弟子には大関大鳴門や剣山、関脇鞆ノ平などがおり、多くの著名な力士を育成しました。

彼の長寿は特筆すべきもので、1928年に83歳で亡くなるまで相撲界においても長命の象徴となりました。さらに、梅ヶ谷には数々の逸話が残され、人望の厚さと酒豪であったことが知られています。特に、銀行からの無担保の借り入れや、酒に関する力豪の逸話は伝説的です。

残した遺産

梅ヶ谷藤太郎は相撲界に多大な影響を与え、「相撲道中興の祖」とも称されています。彼の功績は、相撲の人気回復に寄与し、明治時代の相撲界の再興を支えました。彼の業績は後世においても語り継がれ、現在でもその名前は相撲史に偉大な存在として刻まれています。彼の人生や業績を記念するすべての活動は、相撲文化にとって重要な部分を形成しています。

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