梅津時比古

梅津時比古

梅津時比古（うめづ ときひこ、1948年 - ）は、日本の著名なジャーナリスト、音楽評論家であり、教育者としても桐朋学園大学の学長を務めた人物です。彼の専門は西洋音楽史であり、その深い知識と洞察力に基づいた評論活動は、多くの音楽ファンや研究者から高く評価されています。

経歴

神奈川県鎌倉市で生まれた梅津氏は、1971年に早稲田大学第一文学部西洋哲学科を卒業後、毎日新聞社に入社しました。その後、ケルン音楽大学への留学を経て、2002年からは毎日新聞社東京本社学芸部専門編集委員として活躍しました。2013年からは毎日新聞社客員特別編集委員として音楽コラムを執筆し、ジャーナリストとしての活動を継続しました。

教育者としては、2004年から母校である早稲田大学商学部で非常勤講師を務め、2010年からは桐朋学園大学音楽部特任教授に就任しました。そして、2013年4月には桐朋学園大学の学長に就任し、2022年3月までその任を務めました。ジャーナリスト出身の学長は、日本の大学では初の事例でした。現在は、毎日新聞特別編集委員、桐朋学園大学特任教授、早稲田大学招聘研究員として、多岐にわたる活動を展開しています。

受賞歴

梅津氏の業績は数々の賞によっても認められています。2004年には、『“セロ弾きのゴーシュ”の音楽論』で芸術選奨文部科学大臣賞、岩手日報宮澤賢治賞を受賞しました。2010年には、『フェルメールの楽器』などで日本記者クラブ賞を受賞しています。また、2006年には『ゴーシュという名前』がＮＨＫ制定の「日本の百冊」に選ばれました。

海外での評価

梅津氏の研究は海外でも高く評価されており、2019年にはシューベルト『冬の旅　24の象徴の森へ』がドイツ語に翻訳され、S.Roderer-Verlag,Regensburgから出版されました。日本人のシューベルト研究がドイツ語に翻訳されてドイツで出版されたのは初めてのことであり、彼の国際的な影響力を示しています。2023年には同「哲学叢書」の第53巻として、Der sterbende Lindenbaum Zu Franz Schuberts"Winterreise"　もドイツで出版されました。

著書

梅津氏は、数多くの著書を執筆しており、その内容は西洋音楽史、音楽評論、音楽と文化の関係など多岐にわたります。以下に代表的な著書を挙げます。

音をはこぶ風 クラシック談義 音楽之友社 1991
非日常と日常の音楽 音楽之友社 1992
日差しのなかのバッハ クラシック新空間 音楽之友社 1994
耳のなかの地図 音楽を聴くこころ 音楽之友社 1995
フェルメールの音 音楽の彼方にあるものに 東京書籍 2002
《セロ弾きのゴーシュ》の音楽論 音楽の近代主義を超えて 東京書籍 2003
《ゴーシュ》という名前 《セロ弾きのゴーシュ》論 東京書籍 2005
冬の旅 24の象徴の森へ 東京書籍 2007
フェルメールの楽器 音楽の新しい聴き方 毎日新聞社 2009
神が書いた曲　音楽のクリティカル・エッセイ　毎日新聞社　2013
音のかなたへ　毎日新聞出版　2017
死せる菩提樹　シューベルト《冬の旅》と幻想　春秋社　2018
水車屋の美しい娘　シューベルトとミュラーと浄化の調べ　春秋社　2022
音楽と思索の廻廊　春秋社　2023

これらの著書を通じて、梅津氏は音楽の奥深さや魅力を伝え、多くの読者に感動と新たな発見を提供しています。彼の音楽に対する情熱と深い知識は、これからも多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

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