梳綿

梳綿（そめん・りゅうめん）の概要

梳綿とは、採取した繊維を櫛で整え、方向を揃える作業を指し、別名カーディングやカード処理とも呼ばれます。一般に用いられる繊維には綿や羊毛、靭皮が含まれ、多様な素材が梳綿に適しています。特に犬毛やリャマの毛、大豆から作られるソイシルクなども使用されますが、亜麻のような一部の繊維は処理が困難です。梳綿の目的は、繊維を均一に伸ばし、柔らかい綿状の塊を作ることにあります。

梳綿の手法

ハンドカーディング

ハンドカーディングでは、手持ちのカード器を使用して繊維を整えます。この道具は犬のブラシに似ていて、1回または2回こすっただけで繊維が揃います。作業を行う際は、清潔な布を作業台にかけて行うことが一般的で、梳綿職人はその上に繊維を少しずつ置きながら、ブラシ掛けをしていきます。作業台には繊維を載せすぎない工夫が必要で、これが「ローラグ」として知られる綿状の塊の完成に繋がります。

ハンドカード器はサイズが異なりますが、一般的には2×2インチから4×8インチ程度のものが用いられます。軽打梳綿機はその名の通り、小さな毛の塊を均すために使用されます。カード器の歯の密度は繊維の特性により異なり、より多くの歯がついた器が、よりきれいなローラグを作り出します。

マシンカーディング

一方、マシンカーディングでは、ドラム式カード機が用いられます。この機械は、羊毛工場で一般的に使用されており、20年以上前からの設計を持つものも多いです。ドラム式カード機は、サイズによって異なりますが、繊維が効率的に処理され、方向が揃う仕組みを備えています。

小型カード機では2つのドラムを持ち、供給された繊維を掻き込み、一定方向に整えます。大規模なカード機では、より多くのドラムが配置され、高品質な製品が作成される構造です。繊維がドラムから出る過程で、バットやシートとして整えられ、均一な太さが実現します。

例えば、大型のドラム式カード機を使用すれば、得られたバットを紐状にして、ロービングと呼ばれる若干太めの糸に加工することができます。

自動カード機の歴史

梳綿の機械化は1748年にイギリスのルイス・ポールによって始まりました。短いワイヤーを用いた平面カード機が考案され、以降も改良が重ねられました。1760年代のリチャード・アークライトの水力紡績機に関する特許では、カード機の説明もありましたが、進歩的でないとの理由で拒否されています。1780年代に入ると、カード機は広く工業に導入され、特にウェールズのフランネル産業において重要な役割を果たしました。

梳綿の影響と用途

梳綿で生成された製品は、主に紡績に用いられます。羊毛の場合は、加工性や製品性能を向上させるために、ラノリン（天然の羊毛に付着する油分）の量が調整されることもあります。このラノリンが羊毛の柔らかさに寄与しているため、適正に洗浄されるのが一般的です。

ハンド作業による梳綿や小型カード機を使用する際には、ラノリンが残ったまま処理されることもあります。これにより、手触りの良い製品が生まれることもあります。

このように梳綿は非常に多様で、繊維産業での重要な工程であると同時に、繊維を新たな製品へと変化させる基本的な要素でもあります。

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