棋士採用試験

棋士採用試験（入段試験）とは

棋士採用試験は、日本棋院や関西棋院などのプロ団体が、囲碁のプロ棋士を採用するために実施する試験です。この試験に合格し、プロ棋士になることを囲碁界では「入段」と呼びます。そのため、棋士採用試験は入段試験とも呼ばれます。

日本棋院の棋士採用制度

日本棋院では、以下の種類の棋士採用制度があります（2019年時点）。

正棋士: 一般的な棋士採用試験合格者。
女流特別採用棋士: 女性のみが参加できる試験の合格者。
女流特別採用推薦棋士: 実績を考慮して推薦された女性。
外国籍特別採用棋士: 一定の成績を収めた外国籍の院生または院生経験者。
英才特別採用推薦棋士: 将来有望な小学生を対象とした推薦による採用。

原則として、採用時の年齢は23歳未満です。他のプロ団体で棋士の段位を取得したことがある場合は受験できません。

正棋士採用試験

日本棋院では、東京本院で夏季と冬季、関西総本部と中部総本部でそれぞれ年1回採用試験を実施し、合計で年間5名程度の正棋士を採用しています。

東京本院夏季採用試験: 院生研修の成績1位の者が採用されます。
東京本院冬季採用試験: 院生と外来受験者が参加する試験で、上位2名が採用されます。予選リーグと本戦リーグを経て合格者が決定します。
中部総本部・関西総本部採用試験: 東京本院冬季採用試験と同様の形式で行われます。ただし、合同予選・本戦は関西総本部と中部総本部が隔年で実施し、行わない年は院生研修リーグの成績で採用者を決定します。

女流特別採用棋士採用試験

女性のみが参加できる試験で、原則として年1名が採用されます。予選リーグと本戦リーグを経て合格者が決定します。過去には、正棋士採用試験で入段した女流棋士も存在します。

外国籍特別採用棋士採用

囲碁の国際的な普及を目的として、一定の成績を収めた外国籍の院生または院生経験者が採用されます。年齢制限の例外が認められる場合があります。

女流特別採用推薦棋士

女性がプロ棋士になる条件を緩和する目的で導入されました。院生または院生経験者で、所定の成績を収めて院生師範の推薦を受けた者が対象となります。

英才特別採用推薦棋士

国際棋戦で活躍できる棋士を養成する目的で導入されました。小学生を原則とし、棋士2名以上の推薦がある者が候補となります。試験対局も行われますが、年齢を考慮した特別ルールが適用されます。

正棋士と特別採用棋士の違い

特別採用棋士（女流、外国籍、女流特別採用推薦、英才特別採用推薦）は、棋戦には正棋士と同様に参加できますが、給与や対局料が正棋士に比べて低く、席次も下位となります。ただし、公式棋戦で優勝したり、所定の段位に昇段したりすると、正棋士の資格を得ることができます。

関西棋院の棋士採用制度

関西棋院では、院生制度、外来棋士採用、英才特別採用の3つの制度があります。

院生制度: 手合の成績によって棋士を採用します。年間の入段者数は一定ではありません。
外来棋士採用: アマチュアとして顕著な成績を収めた者を対象に、関西棋院棋士との試験対局で合否を決定します。
英才特別採用: 将来性のある12歳未満を対象としています。棋譜審査と試験碁の結果で合否を決定し、合格者は「準棋士」として採用されます。二段に昇段すると正棋士に昇格します。

2025年には20歳以下の女性を対象とした「女流棋士採用試験」を創設予定です。

過去の制度

過去には、正棋士になれなかった者の救済制度として、普及棋士（準棋士）や地方棋士といった制度が存在しました。また、アマチュアとしての実績を考慮して研修棋士として採用する制度もありました。

最年少記録

日本棋院: 仲邑菫（10歳0か月、英才特別採用推薦棋士）
* 関西棋院: 藤田怜央（9歳4か月、英才特別採用）

まとめ

棋士採用試験は、プロ棋士になるための狭き門です。日本棋院と関西棋院では、それぞれ異なる制度で棋士を採用しており、年齢や性別、国籍などによって様々な採用区分があります。プロ棋士を目指すには、各団体の制度をよく理解し、自分に合った方法で挑戦する必要があります。

もう一度検索