棚倉城

棚倉城について

棚倉城（たなぐらじょう）は、福島県の東白川郡棚倉町にかつて存在した城であり、別名亀ケ城としても知られています。この城は、寛永2年（1625年）に丹羽長重によって築かれ、その後棚倉藩の藩庁が置かれました。現在、棚倉城は国の史跡に指定されています。

歴史的背景

棚倉城の歴史は、元和8年（1622年）に立花宗茂の後任として丹羽長重が5万石で棚倉藩に入封することから始まります。彼は赤館を避け、棚倉盆地の中央にある都都古別神社を移転させ、その跡地に自らの城を築くことを決定しました。江戸幕府からの許可を得て、寛永2年に棚倉城が完成しました。

長重は寛永4年（1627年）に白河藩に転封され、その後も多くの大名が転封を繰り返しました。藩主は慶応2年（1866年）に阿部正静が6万石で入封し、棚倉藩は奥羽越列藩同盟に加盟しました。しかし、慶応4年（1868年）に勃発した戊辰戦争の際、藩主正静が白河に出兵していたため、棚倉城は父の正外と少数の城兵によって守られていました。

新政府軍の攻撃を避けるため、正外は城を自ら燃やし、保原へと撤退しました。わずか1日で落城したこの出来事により、新政府軍は近隣の蓮家寺を本陣に定めました。なお、亀ヶ城という異名は、城の濠に棲む大亀が姿を見せると藩主が転封されるとの言い伝えから来ています。

城の構造

棚倉城の構造は、本丸を中心に二の丸がその周囲を囲み、さらに北西部にはカギ型の三の丸が配置される、輪郭・梯郭式の平城でした。二の丸は主に土塁と二重の堀で構成され、石垣はほとんど見られませんでした。

本丸は南北に長い長方形であり、城の中心となる御殿が建てられました。本丸の南北二つの虎口は、土塁によって二門を備えた枡形構造になっています。特に南虎口は大手口として重要な位置を占めています。

天守は存在しませんでしたが、多量の土塁と水堀があり、四基の二重隅櫓が設けられていました。また、櫓同士は多聞櫓で繋がっており、これにより本丸をすっかり囲む設計がなされていました。このような構造は、東北地方では非常に珍しいタイプです。

現在の遺構

現在、棚倉城の本丸部分や水掘は、亀ヶ城公園として整備されています。堀や土塁も良好に保存されており、訪れる人々に歴史の痕跡を感じさせます。ただし、二の丸の堀は埋め立てられてしまい、完全に消失しましたが、二の丸西側にはわずかに石垣が現存しています。

さらに、町内の長久寺山門として移築された南門も残っており、敷地内には「畑俊六終焉の地」の碑があります。

アクセス

棚倉城へのアクセスは、JR水郡線の磐城棚倉駅から徒歩で約10分です。周辺には自然豊かな公園が整備されており、訪れる方々にとって歴史を感じる貴重な場所となっていること間違いありません。

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