森口多里

森口多里の生涯と業績

森口多里（もりぐち たり）は、1892年に岩手県の水沢町で生まれた著名な美術史家であり、美術評論家、さらに民俗学者としても知られています。本名は「多利（たり）」です。彼の業績は、日本の美術や民俗文化における重要な資産となり、多岐にわたる分野で活躍しました。

幼少期から大学時代

森口の生い立ちは、金物商を営む父・伊三郎と母・カネヨのもと、次男として育まれました。一関中学校を卒業後、1910年には早稲田大学文学部予科に入学します。在学中には、著名な美術評論家である佐藤功一から美術品調査を依頼され、その後日夏耿之助が主宰する同人誌『假面』に参加しました。

1914年に早稲田大学文学部英文科を卒業した森口は、卒業後すぐに美術評論の世界に足を踏み入れました。彼は『ミレー評伝』の翻訳や『恐怖のムンク』といった評論を執筆するなど、多くの著作を残しています。

文筆活動

森口多里の文筆活動は非常に多彩であり、美術史や美術評論にとどまらず、戯曲や建築、さらには民俗文化まで幅広いテーマに取り組みました。彼の生涯には50冊以上の著作があり、それぞれが日本の文化や美術に対する深い理解を反映しています。このように彼は、文筆活動を通じて多くの人に影響を与え、文化の革新に寄与しました。

戦争と郷里での活動

第二次世界大戦中、森口は岩手県の黒沢尻町に疎開しましたが、そのまま郷里に留まることを選びました。この地で、彼は深沢省三や舟越保武などと共に岩手美術研究所を立ち上げ、地域の美術文化の発展に努めました。

戦後、彼は岩手県立岩手工芸美術学校の初代校長に就任し、教育者としての役割も果たしました。また、岩手県文化財専門委員としての活動にも従事し、民俗芸能や資料の保存調査にも尽力しました。その際に収集した蔵書や研究資料は、岩手県へ寄贈され、現在では岩手県立博物館や岩手県立図書館に収蔵されています。

まとめ

森口多里の人生は、文化の探求と教育、そして地域の発展に捧げられました。彼の業績は日本の美術界における重要な礎となり、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。彼の残した多くの著作や資料は、後世への貴重な財産として評価されており、彼の名はいつまでも人々の記憶に刻まれることでしょう。

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