森山周一郎

森山周一郎（もりやま しゅういちろう）

概要

森山周一郎（本名：大塚博夫）は、日本の舞台、映画、テレビドラマにおいて幅広く活動した俳優、声優、ナレーターである。1934年7月26日に愛知県名古屋市で生まれ、2021年2月8日に86歳で他界した。日本大学藝術学部を中退後、俳優としての道を選び、1954年には劇団東芸に所属し、以後、多数の舞台やテレビ番組に出演した。特に彼の渋い低音の声質は、声優としても多くのファンを魅了した。

生い立ちとキャリアの初期

愛知県名古屋市で生まれ、幼少期は犬山市に疎開。その後、愛知県立犬山高等学校を卒業。在学中は野球部に所属し、プロ野球選手を目指していたが、練習試合での挫折を経験し、映画という新たな道を模索するようになった。1953年に上京し、映画カメラマン志望だったが、役者の道へと進むきっかけを得る。

俳優としての活動

1954年、劇団東芸の研究生として初舞台を踏み、その後は多くの舞台や映画に出演した。特に、1970年代から90年代にかけて放映された時代劇やアクションドラマでは、悪役を中心に印象的な演技を残した。また、刑事ドラマ「特別機動捜査隊」ではセミレギュラーとして大村刑事の役を演じ、視聴者に強烈な印象を与えた。

声優としての活躍

森山周一郎は、声優としても多大な功績がある。彼の渋い声は、特に洋画の吹き替えで活かされ、ジャン・ギャバンなどの作品でその名を馳せた。スタジオジブリ作品『紅の豚』では主人公ポルコ・ロッソの声を担当し、この役は彼の代表的な仕事となった。また、刑事コジャックの吹き替えを担当した際には、新たなファン層を獲得し、外国映画の日本版声優としての地位を確立した。

晩年と影響

1999年に脳梗塞を発症したが、その後も精力的に活動を続け、若手声優の養成にも力を注いだ。2020年にはNHK連続テレビ小説『エール』で最後の仕事をし、2021年2月8日に享年88歳で死去した。彼の晩年には、これまでの人生と後輩たちへの思いを込めたドキュメンタリー映画『時には昔の話を』が公開され、多くの人にその足跡を伝えた。

趣味と人間性

森山は、趣味として野球、ゴルフ、麻雀、囲碁を愛していた。特に野球に対する熱意は強く、東京芸能人野球連盟の会長を務めたこともあり、晩年まで現役プレイヤーとして活動を続けた。また、彼の声は「幼稚園のころからこの声だ」と語っており、独自の声質が彼の俳優人生において重要な役割を果たした。さらに、野球を通じた交友関係が多く、他の芸能人との交流も深かった。

結論

森山周一郎の作品は、俳優・声優の両方で優れた才能を発揮し続け、日本のエンターテインメント界に多大な影響を与えた。彼の遺した作品や姿勢は、今後の声優業界が目指すべき指標の一つであり、映像媒体における重要な存在であった。

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