森山雅幸

森山雅幸

森山雅幸氏は、1949年に福岡県に生まれた日本のランドスケープアーキテクトであり、宮城大学名誉教授でもあります。長年にわたる設計実務、教育、研究活動を通して、日本の景観デザイン分野に多大な貢献をしており、その功績に対して第37回日本公園緑地協会北村賞が贈られています。

経歴

彼の学歴は非常に国際的で、まず南九州大学園芸学部で造園学を修めました。その後、鹿児島大学大学院農学研究科修士課程を修了し、さらに専門性を深めるためアメリカへ渡ります。オレゴン大学建築・総合芸術学部大学院でランドスケープアーキテクチャーを専攻し、修士号（M.L.A.）を取得しました。この海外での学びは、その後の活動の基盤となります。

大学院修了後、森山氏はアメリカのサンフランシスコ近郊にある設計事務所で実務経験を積みました。異文化の中で実際のプロジェクトに携わった経験は、彼の設計思想に大きな影響を与えたと考えられます。帰国後、日本の仙台市に自身の設計事務所「森山アソシエイツ」を開設し、本格的にランドスケープ設計の第一線で活動を開始しました。

教育・研究活動

設計活動と並行して、森山氏は教育・研究分野にも力を注ぎました。宮城大学では食産業学部の教授として教壇に立ち、後には副学長も務めました。大学での活動を通じて、彼は特に地域に根差した課題解決型の研究に取り組みました。具体的には、東北地方の豊かな自然的・文化的景観の分析や、東日本大震災からの復興に関連する三陸沿岸部のオープンスペースに関する敷地分析、さらにはスキー場の夏期利用を促進するための敷地計画など、多岐にわたるテーマを研究しました。教育者としても多くの後進を育成しています。

資格・役職

森山氏は専門家としての高い見識を持ち、技術士（都市および地方計画）の資格を有しています。また、かつて実務に携わったアメリカにおけるASLA（米国ランドスケープアーキテクト協会）のカリフォルニア州登録ライセンスも保持しています。東日本大震災からの復興においてもその専門知識を活かしており、石巻南浜津波復興祈念公園の有識者委員会では副委員長として、公園の整備計画や景観に関する助言を行うなど、重要な役割を担いました。

主な作品

これまでに手掛けた作品は数多く、その中でも代表的なものとして、仙台市太白区にある「あすと長町中央公園」が挙げられます。また、国営みちのく杜の湖畔公園内にある子供向けの遊び場「わらすこひろば」の設計にも携わっています。福島県下郷町にある景観施設「本町グラインガルテン」では、景観に関する指導やグランドデザイン作成といった基本設計を担当しました。秋田県鹿角市にある国の重要文化財、旧小坂鉱山事務所の敷地においても、基本設計および前庭の設計を手掛けるなど、歴史的建造物の景観整備にも関わっています。これらの作品は、彼の幅広い設計スキルと、地域特性を活かしたデザインへのこだわりを示しています。

著書

また、森山氏は著書も出版しており、編著として『ランドスケープアーキテクチャーの起点』（ぎょうせい、2007年）があります。この書籍では、彼自身の視点に加え、共著者である河合嗣生氏、平岡直樹氏、青木俊明氏、田村孝浩氏らと共に、ランドスケープデザインの基本的な考え方や実践について論じており、専門家や学生にとって重要な資料となっています。

このように、森山雅幸氏はランドスケープアーキテクトとして、設計、教育、研究、そして社会貢献といった多角的な活動を通じて、日本のランドスケープ分野の発展に尽力してきました。その功績は、受賞歴や手掛けた多くの作品、そして彼から学んだ後進たちによって、今後も引き継がれていくことでしょう。

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