森川万智子

森川万智子について

森川万智子（もりかわ まちこ、1947年3月 - 2019年10月5日）は、フリーライターとして活動し、主に日本の慰安婦問題についての研究を行った学者です。彼女の活動は、慰安婦の証言を記録し、歴史的な不正義に光を当てるものでした。特に、韓国人女性・文玉珠との関わりによって、その研究が実を結びました。

人物背景

彼女は福岡県太宰府市で生まれ、山口県立下関南高等学校を卒業した後、1966年から1986年まで郵便局員として働いていました。この時期、彼女は労働運動にも関与し、社会問題に目を向けるようになったと言われています。その後、出版社や印刷会社での経験を経て、フリーライターに転身。福岡に戻った後、小規模な老人介護施設を運営していました。

文玉珠との出会い

文玉珠は18歳のときに日本軍によってビルマ（現・ミャンマー）に連行され、21歳で戦争を終えました。1992年、彼女は自身が慰安婦であったことを公表。森川は彼女がかつて旧郵政省に軍事貯金をしていたことを知り、その払い戻しを求める活動に参加しました。彼女は「慰安婦の実情を明らかにするためには、証拠を持つ人々の記録が必要だ」と考え、1992年から1995年までの間に自費で18回韓国を訪れ、文にインタビューを行いました。

調査の成果

森川は1995年からミャンマーでの調査も行い、文の語った体験を記録しました。これらの調査結果は『文玉珠 ビルマ戦線楯師団の「慰安婦」だった私』（梨の木舎、1996年）としてまとめられ、初版で4000部が発行されました。この本は、1996年度第16回山川菊栄記念婦人問題研究奨励金を受賞し、森川の研究の重要性が認められた瞬間でもありました。

その後も森川は調査を続け、1997年から1998年にかけてミャンマーに滞在し、200人以上の慰安婦の証言を集めるとともに、慰安所とされた建物の実地調査も行いました。また、2005年には『文玉珠 ビルマ戦線楯師団の「慰安婦」だった私』が韓国で翻訳出版され、慰安婦問題に対する国際的な認知も一層広がりました。

映像作品

森川は著作だけでなく、映像作品にも取り組みました。1999年には『ビルマに消えた「慰安婦」たち』を制作し、2000年には『ビルマの日本軍「慰安婦」1997年～2000年現地調査の記録』を発表。これにより、視覚的に慰安婦問題を広く伝える努力を続けました。

受賞歴と死去

2016年には第20回高良留美子女性文化賞を受賞。彼女の生涯を通じた仕事は、日本の歴史における女性の声を力強く響かせるものでした。そして2019年10月5日、彼女は急性骨髄性白血病のため逝去しました。彼女の貢献は、今後も語り継がれることでしょう。

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