急性骨髄性白血病

急性骨髄性白血病（AML）について

急性骨髄性白血病（AML）は、悪性腫瘍としての造血細胞が特徴的に変化した白血病の一種です。この病気は、造血幹細胞が正常に分化・成熟する過程を経ず、未熟な細胞である芽球が急速に増殖することで知られています。AMLは急性として分類されており、正常な造血細胞が正常なコントロールを失った結果、骨髄や末梢血中で異常な細胞が増加し、通常の血液細胞が圧迫されてしまいます。

病気のメカニズム

AMLでは、白血病細胞が正常な造血細胞と同じ速度で増殖するわけではなく、むしろ増殖速度は遅いものの、無制限に増え続けることが特徴です。そのため、骨髄内では正常な血球産生が妨げられ、結果として赤血球や白血球、血小板が減少し、さまざまな症状—出血、感染症、貧血など—を引き起こします。特に、急性骨髄性白血病にかかると白血病細胞が身体の他の臓器にも浸潤し、臓器の機能障害をもたらすことがあります。

症状と診断

急性骨髄性白血病の初期段階では、鼻血や歯茎からの出血が増えたり、風邪のような症状が持続したりすることが多いです。また、全身の倦怠感や息切れが見られることもあります。これらの症状が進行することで、線維化や脾臓・肝臓の腫大などを引き起こし、さらなる検査が必須です。

通常、健康診断や血液検査を通じて貧血や血小板減少が認められ、芽球と呼ばれる未成熟な白血病細胞が見つかることで診断が下されます。迅速に専門機関を受診し、必要な検査を行うことが重要です。

病型分類

AMLは、その病型によって細かく分類されており、造血幹細胞の特定の段階で腫瘍化したかによって、FAB分類でM0からM7のカテゴリーに分けられます。例えば、急性骨髄球性白血病（M0）や急性前骨髄球性白血病（M3）などがあります。近年では、分子遺伝学に基づいたWHO分類による新しい分類も導入されています。

治療方法

急性骨髄性白血病の治療は主に化学療法に依存します。治療は「寛解導入療法」と「寛解後療法」に分かれており、まず抗がん剤を使用して白血病細胞の数を減少させ、顕微鏡検査で白血病細胞が見られない状態（寛解）が目指されます。その後も残存する白血病細胞を完全に排除するために追加の化学療法が行われます。

治療の実施にあたっては年齢や全身状態を考慮し、臓器への影響や合併症などを注意深く見守る必要があります。急性骨髄性白血病の治療は困難を伴う一方で、最近は分子標的療法なども開発されており、より良い治療成果が期待されています。

疫学

急性骨髄性白血病は、年間人口10万人あたり約3〜4人の割合で発症する希少ながんです。しかしながら、特に若年者のがんとしては最も発症頻度が高く、また高齢者においても発症率が増加しています。高齢化社会と共に、急性骨髄性白血病の発症率も上昇しているとされています。

急性骨髄性白血病は複雑な病理を抱えており、適切な治療と早期発見が生存率に大きな影響を与えます。患者や家族は最新の情報を収集し、早期受診を心がけることが重要です。

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