森後町 (神戸市)

神戸市灘区森後町：歴史と地理、そして町名の由来

神戸市灘区東部に位置する森後町は、昭和7年（1932年）9月に、それまでの八幡字森後、永手、日尾、大道、中ノ通を統合して誕生しました。現在では、東から一丁目、二丁目、三丁目と分かれています。

町域の地理

森後町は三角形状の比較的コンパクトな町域を形成しています。東と南は永手町、西は六甲町に接し、北には山手幹線を挟んで日尾町、その東端ではわずかに高徳町と隣接しています。周囲の町々との境界は明確で、地域住民にとって分かりやすい地理的特徴を持っています。

町名の由来：諸説と考察

森後という町名は、旧字名である「森後」に由来しています。その語源については、いくつかの説が提唱されています。

主要な説としては以下の3つが挙げられます。

1. 神社の杜の後方: 神社の境内（杜）の後ろ側という意味です。
2. 神社を守る氏子: 「守（も）り」を意味し、神社を守る氏子が住む地域を示唆する説です。
3. 森の背後: 地域に多くの森が存在し、その奥という意味です。

『灘区の町名』では、上記3つの説を紹介し、特に3番目の「森の背後」説を最も納得しやすいとしています。一方、『神戸の町名 改訂版』では、さらに別の可能性も示唆しています。西宮地域における地名例を挙げ、地名における「守」の字が「森」に変化した可能性を指摘し、森後町の位置関係から、更なる検討が必要であるとしています。

特に、『神戸の町名 改訂版』では、『太平記』巻八における摩耶城合戦の記述中に登場する「八幡森」との関連性にも言及しています。しかし、「ゴ」を「後」と解釈すると、南向きに建てられたとされる社殿の配置と矛盾が生じるため、この説のみでは結論づけるのは難しいと言えます。

このように、森後町の町名の由来は、複数の説が存在し、それぞれに裏付けとなる要素が見られますが、決定的な結論は出ていません。それぞれの説を総合的に検討し、地域の地理的特徴や歴史的背景なども考慮することで、より深く理解を深めることができるでしょう。

人口統計

令和2年（2020年）の国勢調査によると、森後町の世帯数は1,006世帯、人口は1,836人（男性806人、女性1,030人）でした。この数値は、森後町の規模や居住状況を反映しており、地域社会の現状を知る上で重要なデータとなります。

参考文献

神戸史学会 編『神戸の町名 改訂版』神戸新聞総合出版センター、2007年
灘区役所広報相談課 編『灘区の町名』灘区役所広報相談課、1976年

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