森本達幸

森本達幸（もりもと たつゆき、1934年11月6日 - 2023年6月24日）は、大阪府大阪市に生まれ、奈良県大和郡山市で育った人物です。野球選手として活躍した後、指導者として長きにわたり高校野球に貢献しました。特に、母校である郡山高校の監督を47年間（連続）務めたことで知られています。その間、多くの選手を育成し、甲子園にも複数回出場しています。

選手としての経歴

1950年、奈良県立郡山高校に入学すると、すぐにその才能を開花させ、1年生ながらエース投手として活躍しました。夏の奈良大会では優勝を果たしましたが、紀和大会で敗退し、甲子園出場はなりませんでした。3年生の夏にも奈良大会を制覇しましたが、またしても紀和大会で敗れ、在学中は甲子園の土を踏むことはできませんでした。

高校卒業後の1953年には関西大学に進学し、2学年下の上田利治とバッテリーを組みました。また、2学年下の村山実と共に、4年生の1956年には大学全日本選手権で優勝を果たし、大学日本一を経験しました。

大学卒業後の1957年には京都大丸に入社し、社会人野球で活躍しました。

指導者としての経歴

1963年4月、母校である郡山高校の監督に就任し、2009年夏まで47年間もの長きにわたりチームを率いました。監督業の傍ら、家業の洋品店やバッティングセンターの経営にも携わっていました。また、大和郡山市の市営球場長や市総合公園施設長も務め、地域社会にも貢献しました。

監督就任4年目の1966年夏、郡山高校を33年ぶり2度目の選手権大会出場に導き、自身も監督として甲子園初勝利を挙げました。

1969年に入学した福田功を正捕手に抜擢したエピソードは有名です。福田の母親が入院した際、福田が練習後病院へ駆けつけ、氷枕の氷を交換する姿を見て、その人間性に感銘を受けました。この話を聞いた中央大学の宮井勝成監督は、福田を中央大学に迎え入れました。

1971年には春夏連続で甲子園に出場しました。春の大会では初戦で敗退しましたが、夏の大会では、前年準優勝のPL学園に勝利しました。準決勝では、田村隆寿を擁する磐城高校に敗れましたが、この試合では、春の選抜で失策した選手を5番に起用し、その選手が活躍するという采配も見せました。

森本監督は「1に勉強とマナー、2に野球」を指導のモットーとし、成績の悪い選手には厳しく指導しました。また、入部してきた選手には、まず最初に「電車の座席はお年寄りのもの」と教え、マナーを重視しました。

1974年夏にもチームをベスト8に導き、県内では天理高校、智弁学園高校と共に3強時代を築きました。1978年春、1982年春、1998年春にもベスト8に進出しました。2000年夏を最後に甲子園から遠ざかりましたが、2003年には日本高野連の「イヤー・オブ・ザ・コーチ」を受賞しました。

2009年7月25日の奈良大会準優勝をもって、47年間の監督生活に終止符を打ちました。その監督歴は、箕島の尾藤公、星稜の山下智茂、池田の蔦文也など、数々の名将よりも長く、郡山高校監督として4200試合以上を指揮し、甲子園には春6回、夏5回、計11回出場し、11勝11敗の成績を残しました。

2010年12月27日には、翌年4月1日付で大阪桐蔭高等学校の総監督に就任することが発表されました。

2023年6月24日、心不全のため88歳で逝去されました。

主な教え子

森本監督の教え子には、プロ野球選手として活躍した選手も多数います。

白滝政孝（関西大学→中日ドラゴンズ→近鉄バファローズ）
福田功（中央大学→中日ドラゴンズ）
米村理（阪急ブレーブス）
中村泰広（慶應義塾大学→日本IBM野洲→阪神タイガース→北海道日本ハムファイターズ→阪神タイガース）
宮越徹（中日ドラゴンズ→西武ライオンズ）
荻野貴司（関西学院大学→トヨタ自動車→千葉ロッテマリーンズ）

森本達幸は、選手、指導者として、日本の野球界に大きな足跡を残しました。

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