森田義之

森田義之：イタリア・ルネサンス美術研究の第一人者

森田義之氏は、1948年生まれの日本のイタリア美術史研究者であり、特にルネサンス美術史、都市史、技法史を専門としています。彼の研究対象は、ルネサンス美術全般（建築、彫刻、絵画、工芸）に及びますが、その中でも特にルネサンス美術が花開いた都市に焦点を当てています。都市建設、パトロネージ（芸術の保護・支援）、そして芸術創造の相互関係、さらには都市における芸術家の生活様式に関心を抱き、研究を進めています。現在は、愛知県立芸術大学の名誉教授を務めています。

学歴と職歴

森田氏は、1971年に東京芸術大学美術学部芸術学科を卒業し、1974年には同大学大学院美術研究科修士課程を修了しました。その後、イタリア政府給費留学生として、1976年からフィレンツェ大学およびローマ大学文哲学部専攻科に留学し、本格的にイタリア美術の研究に取り組みました。

帰国後は、1981年に東京芸術大学美術学部助手を務め、1982年には茨城大学教育学部助[[教授]]、1995年には同大学教授に昇任しました。2000年には愛知県立芸術大学美術学部教授に就任し、2013年に同大学の名誉教授となりました。長年にわたり、教育者としても多くの人材を育成してきました。

受賞歴

森田氏は、その研究業績が認められ、1992年には第15回マルコ・ポーロ賞を共同受賞しています。

研究内容と著作

森田氏の研究は、ルネサンス美術の巨匠たちの作品分析にとどまらず、その背後にある都市の文化や社会構造、パトロンの存在にまで深く掘り下げられています。特に、ルネサンス期のフィレンツェを中心とした都市の歴史、そしてメディチ家のような有力なパトロンが芸術創造に果たした役割について詳細な研究を行っています。また、ルネサンス美術の技法にも精通しており、作品をより深く理解するための視点を提供しています。

代表的な著作としては、メディチ家の歴史を辿った『メディチ家』（講談社現代新書）があります。この著書では、メディチ家の興隆から衰退までを詳細に描き出し、ルネサンス美術とメディチ家の深い関わりを明らかにしています。その他にも、『ミケランジェロ・ヴァティカン壁画(天地創造) 1』、『ミケランジェロ・ヴァティカン壁画(最後の審判) 2』など、巨匠たちの作品を詳細に分析した著作を多数発表しています。また、NHKの番組と連動した『NHKフィレンツェ・ルネサンス』シリーズでは、ルネサンス美術の魅力を広く一般に伝えることに貢献しました。

翻訳活動

森田氏は、研究者としての活動と並行して、海外の美術史研究書や美術関連書の翻訳も数多く手がけています。その翻訳の幅は、美術史全般に及び、原著の内容を忠実に伝えつつ、読者にとって読みやすい日本語にするための深い知識と卓越した文章力が求められます。翻訳書として、ヴァザーリの『ルネサンス彫刻家建築家列伝』の監修訳、ピーター・バークの『イタリア・ルネサンスの文化と社会』、アンソニー・ヒューズの『ミケランジェロ』など、重要な著作を日本語に翻訳し、日本におけるイタリア美術史研究の発展に貢献しています。

まとめ

森田義之氏は、イタリア・ルネサンス美術史研究における第一人者として、その深い知識と情熱をもって、研究、教育、翻訳活動に取り組んできました。彼の研究は、美術史研究者のみならず、美術愛好家や一般読者にとっても、ルネサンス美術への理解を深める上で欠かせないものです。その功績は、日本におけるイタリア美術史研究の発展に大きく貢献しており、今後もその活躍が期待されています。

彼の業績は、ルネサンス美術の理解を深める上で不可欠であり、後進の研究者や美術愛好家にとって、重要な指針となっています。

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