森由民

森 由民

森 由民（もり ゆうみん、1963年12月27日 - ）は、動物園を専門とする日本のフリーライターです。自らを「世界に類を見ない」と称するほど希少な存在であり、その活動を通じて全国の動物園の魅力を精力的に発信しています。

人物と活動

森氏は、日本各地の動物園を訪ね歩き、その取材に基づいた執筆活動を行っています。ナショナルジオグラフィック誌でのコラム「動物園へ行ってみよう」の連載をはじめ、『動物園を楽しむ99の謎』や『大切ないのち生まれたよ5』などの単行本を執筆。また、人気漫画『ASAHIYAMA-旭山動物園物語-』（画：本庄敬）の全三巻の原作も手掛けるなど、多岐にわたる媒体で動物園を紹介しています。

執筆活動に加え、各地での講演活動も積極的に行っており、動物園の意義や楽しみ方について語っています。環境保護活動にも関心を寄せ、ボルネオ保全トラストではオーガナイザーとして講演会に参加するなど、保全意識の啓発にも貢献しています。テレビ番組やインターネット番組（Ustream）への出演経験もあり、メディアを通じて動物園への関心を広める活動も行っています。

また、東京都内で会員制の動物関連書籍図書館を運営するなど、様々な形で動物と人々をつなぐ場を提供しています。

森氏は、子供の頃から動物が好きだったわけではなく、大人になってから偶然訪れた動物園でその魅力に目覚めたといいます。以来、動物園で過ごす時間をこよなく愛し、各地を巡るようになりました。産経新聞のインタビューでは、動物園を楽しむヒントとして「5分立ち止まれば“動物時間”を体感できる」と自身の経験を紹介しています。

彼が提唱する独自の「THE動物園を楽しむ5つの方法」は以下の通りです。

THEマイペース
動かなければにらめっこ
座ろう!
お散歩気分で
好きな動物を見つけよう

これらは、森氏自身が普段から実践している観察法です。人間の時間軸で慌ただしく見てしまうと、動物が単に「何も動いていない」ように見えがちですが、立ち止まり、座り、マイペースに過ごすことで、動物たちのありのままの姿や、普段気づかない「動物時間」を感じ取ることができると説いています。

「動物園ライター」として

「動物園ライター」という肩書きを使い始めたのは、漫画『ASAHIYAMA-旭山動物園物語-』の原作執筆のために動物園を取材したのがきっかけでした。この取材を通じて動物園そのものに深く魅了され、以降、「動物園ライター」としての活動を本格化させていきました。

森氏によれば、「動物ライター」が動物そのものの専門知識を持つことに対し、彼は自らを動物の専門家ではなく、あくまで動物園という「場」を愛し、そこを頻繁に訪れる人間であると位置づけています。そして、現代動物園における重要な概念である環境エンリッチメント（動物たちの福祉向上のための環境改善）への理解を深め、単なる展示施設ではない動物園の多様で奥深い側面に光を当てる執筆活動を行っています。2013年には、到津の森公園の岩野俊郎園長と「動物園と公共性」について議論を行うなど、動物園を取り巻く様々なテーマについても考察を深めています。

来歴

1986年：千葉大学理学部生物学科を卒業。
1994年：南山大学大学院文学研究科博士前期課程を修了（文化人類学）。
2006年1月～：動物園ライターとしての活動を開始。
2011年4月～：東京コミュニケーションアート専門学校の非常勤講師として「動物園論」を担当。
2014年4月～：千葉市動物公園のZooアドバイザーに就任。

その他の関与

日本経済新聞が企画した『生態がよくわかる動物園 何でもランキング』では、選者の一人として参加しました。ランキング上位に挙がった旭川市旭山動物園の「あざらし館」や長野市茶臼山動物園の「レッサーパンダの森」、よこはま動物園ズーラシアの「チンパンジーの森」などについて、その選考理由を具体的に解説しています。

また、2007年には、日本の動物園（千葉市動物公園など）が持つ、オランウータンの移動に使う吊り橋を作る技術が、野生のボルネオオランウータン保全に応用されたエピソードについて、動物園事情に詳しい立場から解説を行っています。

主な著書

『動物園を楽しむ99の謎』 (ISBN 9784576080567)
『大切ないのち生まれたよ5』 (ISBN 9784055007238)
『ひめちゃんとふたりのおかあさん～人間に育てられた子ゾウ～』 (ISBN 9784577039366)
漫画『Asahiyama 旭山動物園物語』全三巻 原作・脚本
* 『約束しよう、キリンのリンリン いのちを守るハズバンダリー・トレーニング』 (フレーベル館ジュニア・ノンフィクション, 児童書) (ISBN 9784577040973)

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