森章剛

森 章剛

福岡県久留米市出身の元プロ野球選手（外野手）、野球指導者。右投両打。プロ入り当初の登録名は「ショーゴー」で、後に本名の「森 章剛」や一時的に「章剛」を用いた期間もあった。

アマチュア時代

幼少期を過ごした長崎県長崎市では、小学校6年生時にソフトボールで全国制覇を経験した。中学から福岡県に戻り、久留米ボーイズで硬式野球を始め、大分県の藤蔭高等学校に進学。高校では通算75本塁打という記録を残し、スラッガーとして注目を集める。この活躍が評価され、1997年のプロ野球ドラフト会議で中日ドラゴンズから2位指名を受け、プロ入りが決定した。

プロ野球選手時代

中日ドラゴンズ

背番号「0」を与えられ、登録名「ショーゴー」としてプロキャリアをスタート。しかし、入団初年の春季キャンプで腰を負傷。指導者への報告が遅れたことで症状が悪化し、その後の選手生活に大きな影を落とすこととなった。本人の言葉によれば、遠征用の荷物を持つことすら苦痛を感じるほどの状態であったという。この経験から、腰痛の再発を過度に恐れるあまり、練習に制限をかけるようになったことが、期待されたほどの成長を阻んだ一因とされる。

2001年には二軍でウエスタン・リーグの月間MVPを獲得するなど、打撃の片鱗を見せた。同年5月1日、東京ドームでの対読売ジャイアンツ戦では、9回表に野村空生投手から左中間へプロ入り初本塁打を記録。この一打は、登録上は左打者ながら右打席に立ち、しかもプロ入り初打席初球で放ったもので、NPB史上6人目の快挙となった。

その後、スイッチヒッター転向なども試みるが、レギュラー定着には至らず、背番号も40に変更された。

登録名を巡っては混乱も生じた。2001年オフに本名の「森 章剛」に戻すも、翌2002年のキャンプ直前に再び「章剛」へ変更。しかし、すでに「MORI」と背ネームが入ったユニフォームが準備されていたため、急遽本名に戻すという一幕があり、当時の名鑑等では登録名の表記にばらつきが見られた。

2004年シーズン終盤には、守備固めやスタメンとして一軍での出場機会が増加。特にシーズン最終盤には、優勝マジックを減らす重要な局面で主に7番・右翼手として先発出場を続け、自己最多となる3本塁打を放つなど、チームのリーグ優勝に貢献した。クライマックスシリーズや日本シリーズも経験。この時期の活躍はチームの優勝へ直接的に寄与したと評され、放った2本の本塁打はいずれも勝利に繋がる重要な一打だった。

しかし、この活躍を翌年に繋げることができず、2005年は再び一軍出場がないままシーズンを終え、10月に金銭トレードで北海道日本ハムファイターズへ移籍することが決定した。

北海道日本ハムファイターズ

移籍した2006年は春季キャンプで一軍メンバーに帯同したが、公式戦での出場機会は得られなかった。同年9月、移籍後わずか1年で球団から戦力外通告を受け、プロ野球選手としてのキャリアを終えた。

現役引退後

プロ野球選手としてのキャリアを終えた後、森氏は野球界内外で多方面にわたる活動を展開している。当初は社会人野球チームである沖データコンピュータ教育学院で選手兼任コーチを務め、後進の指導にあたる傍ら、自身も独立リーグでプレーを続けた。

その後は愛知県に戻り、実業家としての顔も持つようになった。2009年9月には安城市に「お好み焼 ショーゴー」を開店し、2010年7月には岡崎市に2号店となる「ホルモン焼 ショーゴー」を出店するなど飲食事業を経営したが、これらの店舗は後に閉店している。

現在は岡崎市内でミズノ専門のスポーツ用品店「MKスポーツ」を経営する傍ら、小中学生を対象とした野球塾を開校し、次世代の育成に尽力している。また、2016年に学生野球資格回復研修を修了し、翌2017年2月7日に日本学生野球協会から適性認定を受けたことで、高校生や大学生への指導資格も取得した。

2018年には女子プロ野球リーグに参画し、愛知ディオーネのヘッドコーチに就任したが、契約は1年間で満了となった。現在は、愛知県を中心に野球指導やコンサルティングを行う組織「BASEBALL ONE」の講師として、幅広い層の野球選手への指導に携わっている。

プロ野球選手として輝かしい記録を残す一方、怪我や不調に苦しんだ経験を持つ森章剛氏。その波乱万丈な経験は、引退後の指導者としての活動や、多角的なキャリアを築く上での貴重な糧となっている。

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