森脇将光

森脇将光：混乱の時代に生きた実業家

森脇将光（もりわき まさみつ、1900年1月17日 - 1991年6月2日）は、日本の実業家として知られています。彼は島根県簸川郡平田町、現在の出雲市で生まれ、慶應義塾大学経済学部を中退した後、金融業に飛び込みました。

大胆な金融業のスタート

大学在学中に彼は金融業を始め、東京・日本橋に事務所を開設しました。彼は1948年度の長者番付で、9,000万円の所得を記録し、第一位となりました。このことから「金融王」と称され、一躍名を馳せました。戦後の混乱の中で、多大な利益を上げた彼の手法は、高利での融資に基づいていましたが、彼の成功はいわゆる「法の裏」をつくものでした。

出版業への進出と学び

森脇は金融業だけでなく、出版事業にも着手しました。彼が出版した尾崎秀実の獄中書簡集『愛情はふる星のごとく』は大ヒットを記録し、さらに1959年には「週刊スリラー」を創刊しました。この雑誌は彼の名声を高める要因となり、裏社会や金融界における動きを記録する「森脇メモ」として知られる資料を残しました。このメモは、造船疑獄や千葉銀行レインボー事件において、重要な証拠として活用されています。

事件とスキャンダル

1965年には、吹原産業事件に関与し、最初は被害者として名を挙げるも、後に自民党代議士との偽造文書事件で逮捕されました。この事件は森脇の名声に大きな影響を与えるもので、彼の経営する金融会社もやがて訴追され、税務上の違反として懲役12年、罰金4億円の判決を下されました。その後、上訴を経て、懲役5年に減刑されるも、最高裁で支持され、1980年に服役しました。しかし、健康上の理由から1981年に執行停止となり、1989年には特別恩赦により刑が免除されました。

死後も続く納税問題

森脇は、生前から脱税問題に直面しており、1961年から1965年までの間で約52億円の脱税額が課税処分されました。彼の死後も、森脇文庫関係者が納税を続け、不動産の売却などで課税を完納しました。総額は約95億円に達し、彼の晩年と死後の問題は彼の経営センスや投資に対する姿勢を物語っています。

語録と余談

森脇は、政治や経済に関する鋭い意見を持ち、その発言からも独自の視点が伺えます。「国民の血をしぼった税金を計画造船に充てるのはいいが、政治家が寄金を受け取ったり、料理屋で散財するなどはもってのほか」と語ったように、経済問題に対する強い意見を持つ賢者でした。また、作家の宗田理が森脇文庫での編集経験を経て、後に著名な作品を書くことになったことも、彼の人生に影響を与えました。

森脇将光は、日本の実業界において、波乱万丈の人生を歩んだ人物であり、その影響は今なお多くの人々に語り継がれています。

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