植村泰忠 (物理学者)

植村泰忠の生涯と業績

植村泰忠（うえむら やすただ）は、1921年4月18日に東京府に生まれました。経済団体連合会の元会長、植村甲午郎の長男として、彼は学問の世界に進む道を選びました。

学歴と初期のキャリア

東京帝国大学の理学部で学んだ植村は、同大学を卒業後、東芝のマツダ研究所に勤務します。彼の研究の成果は、1958年に理学博士号を取得するまでに至り、以後、東京大学における教職に就くこととなります。1963年には東大理学部の教授に昇進し、この間、1973年から1976年には理学部長を務めました。1982年には定年を迎え、その後名誉教授に就任しました。

研究業績

植村は半導体に関する理論的な研究を数多く行いました。特に1983年には、他の研究者と共同で「強磁場下のMOS反転層における伝導現象の理論」の研究を発表し、その成果によって日本学士院賞を受賞しました。この業績は、彼の名前を物理学界に広く知らしめるきっかけとなりました。2024年に逝去するまで、彼は精力的に研究を続け、多くの後輩たちに影響を与えました。

東大紛争における役割

植村は、1960年代に発生した東大紛争の際、大学側の記録を保存していたことでも知られています。当時、大学内では様々な意見が衝突し、多くの人々が活動を行っていましたが、彼は学問の重要性を理解し、その記録を後の世代に伝えることに注力しました。

家族と後継者

植村の妻、春子は、子爵阪谷希一の五女です。彼の家族も学問やビジネスの世界で活躍しており、長男の植村泰佳はサッポロビールの取締役や電子商取引安全技術研究組合理事長として知られています。次男の植村泰朋はコロンビア大学で物理学の教授として教鞭を執り、家族全体が学問分野で優れた成果を上げていることが伺えます。

最後の年々

2004年11月28日に植村は病を患い、亡くなりました。彼の墓所は多磨霊園にあります。長い学問のキャリアの中で多くの業績を残し、日本の物理学界に多大な影響を与えた植村の人生は、今も多くの人々の記憶に刻まれています。

共著書

彼の著作の中には、『半導体の理論と応用 上 (その半世紀の歩み)』（菊池誠との共著、裳華房、1960年）があります。この書籍は、彼の理論に基づく半導体の研究における歴史的な歩みを象徴するものとなっています。

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