椎名悦三郎

椎名 悦三郎

椎名 悦三郎（しいな えつさぶろう、1898年1月16日 - 1979年9月30日）は、日本の官僚及び政治家で、岸信介の腹心として満洲国の統治や日本の商工政策に深く関わりました。彼は戦後も多くの要職を歴任し、特に自由民主党において重要な役割を果たしました。椎名はまた、日韓基本条約締結に貢献したことで広く知られています。

生い立ち

椎名は1898年に岩手県で生まれました。父親は小学校の教師を勤めていたが、経済的に厳しい家庭環境で育ちました。しかし、彼は学業に励み、高校を卒業後、東京帝国大学へ進学します。この頃、彼は椎名家に養子入りし、椎名悦三郎という名前に改名しました。

官僚時代

大学卒業後は農商務省に入省し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。1912年には商工省に転職し、愛知県にて重要な役職を務めながら、満洲国にも関わるようになります。特に、満洲では産業調査を指揮し、日本からの開拓農民の受け入れなど大規模な計画に関与しました。

戦後の政治家としての活動

戦後は内閣官房長官や外務大臣などを歴任し、自民党内においても多くの重要な役職に就きました。特に岸内閣では内閣官房長官として活躍し、アメリカとの関係強化を図るために新安保条約の締結を推進しました。これにより、日米関係の基盤を築くうえで重要な役割を果たしました。

日韓基本条約の締結

椎名は外務大臣として、日本と韓国の間で公式な国交を結ぶために活躍しました。日韓基本条約の締結において、請求権問題や漁業権などの難題を解決し、竹島問題についても一時的な棚上げを提案しました。この交渉の中で、椎名は「日本としては深く反省している」という発言をし、韓国側の世論を考慮しながら交渉に臨みました。最終的には、日韓基本条約は1965年に締結され、その後日本と韓国の関係を大きく進展させることになりました。

政界における栄光と課題

政治活動が続く中で、椎名はしばしば選挙違反問題に巻き込まれ、また岸派の分裂問題にも関与しました。特に「椎名裁定」として知られる党内政治の場面では、彼は大平正芳を支持し、党の若手の総裁指名を試みました。しかし、その後の三木内閣での三木降ろしといった政治対立は、彼の影響力を削ぐ結果となりました。

晩年

椎名は1979年に81歳で亡くなるまで、政界からの引退後も多くの人々に影響を与え続けました。彼の人生や業績は、戦後日本の政治・経済において重要な位置を占めています。また、椎名の人格は、内気で飄々とした性格であり、独自の人柄と逸話に富んでいました。多くの記録や証言が彼の生涯を支えており、後輩たちへの教訓として語り継がれています。

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