椎本才麿

椎本才麿（しいのもと さいまろ）

江戸時代前期から中期にかけて活躍した俳人、椎本才麿（1656年 - 1738年1月2日）について解説します。

人物

才麿は、大和国宇陀（現在の奈良県宇陀市）に生まれました。本姓は谷氏であると推測されています。通称は八郎右衛門といい、則武、西丸、才丸、旧徳、松笠軒、一切経堂、春理斎、狂六堂など、多くの号を用いています。

宇陀城主である織田伊豆守の家老、佐々木主水の養子となりましたが、後に浪人したとされています。俳諧の世界には、山本西武門に入門したことがきっかけで足を踏み入れました。西武門から一字を受け、「則武」と号しました。寛文年間には井原西鶴に師事し、西鶴から一字をもらい「西丸」と号しました。

1677年（延宝5年）に江戸へ下り、漢詩文調が流行する中で、松尾芭蕉やその門下との交流を深めます。宝井其角などとも親交がありましたが、漢詩文調の衰退とともに疎遠となりました。1689年（元禄2年）冬には大阪へ移り、以後生涯を大阪で過ごしました。大阪では、上島鬼貫や小西来山の支援を受け、大阪俳壇での地位を確立しました。岡西惟中や来山の門人を自身のグループに取り込み、伊丹の俳壇にも勢力を広げました。

1736年（享保20年）頃から病に伏し、1738年（元文3年）1月2日に亡くなりました。

作品

才麿は生涯で多くの作品を残しました。以下に代表的なものを紹介します。

『椎の葉』（1689年（元禄2年））
『後しゐの葉』（1689年（元禄2年））
『うきぎ』（1700年（元禄13年））
『浪花八百韻』（1713年（正徳3年）以前刊）
『千葉集』（1719年（享保3年）跋）
芳室撰『阿女』（1720年（享保4年）序）
『続千葉集』（1731年（享保15年））
素外編『狂六堂才麿発句抜萃』（1785年（天明5年））

才麿の作品は、当時の俳諧の流行や、彼自身の人生経験を反映したものが多く、江戸時代の俳諧文化を知る上で貴重な資料となっています。

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