検察官面前調書

検察官面前調書（けんさつかんめんぜんちょうしょ）について

検察官面前調書とは、刑事事件における供述を検察官が録取した重要な書類です。この文書は、被疑者または参考人の言葉を記録し、法廷で証拠として提出するために作成されます。検面調書、PS、2号書面などの別名でも呼ばれ、法的にも重要な役割を果たしています。

構成と目的

検面調書は、被疑者の供述と参考人の供述をそれぞれ記録したものに分かれます。これにより、取り調べの内容を法廷において証拠として利用できる状態で保全することが主たる目的です。また、内部での決済に関する資料としても役割を果たします。

被疑者の供述内容は多岐にわたりますが、最初に被疑者の基本情報や経歴、生活環境や人間関係について詳しく記述されます。この後に、被疑事実に関する供述が続き、自白の詳細やその否認が含まれることがあります。特に自白の際には、最後に反省の意が示される場合があり、より詳細な調査が必要な場合には補充的な調書が作成されることもあります。

供述の作成過程

検面調書は、被疑者の一人称で記述されることが一般的です。供述内容は検察官が整理し、担当の検察事務官に口授する形でパソコンにドラフトさせる手順が取られます。文書作成が終わると、特定の赤い印が付された検面調書専用の紙に印刷され、被疑者に提示されます。この時、被疑者に内容を読み聞かせ、同意が得られたら署名や指印を依頼し、文書が完成します。

特信性と法廷での扱い

法廷において、検面調書の供述が証言と矛盾する場合、特別な事情があるとされる場合には、検面調書の内容が伝聞証拠禁止の原則の例外として採用されることが認められています。これは裁判官面前調書よりも条件が厳しく設定されていますが、実務上では検面調書が特信的な証拠として重視される場面もあり、法廷での証言は軽視されることが多く、これが検察側に有利に働く要因となっています。このことについて、刑事訴訟を担当する弁護士から批判の声が挙がることもあります。

歴史的背景

検面調書に関する特信性の規定は、戦前の旧刑事訴訟法にはなかったもので、戦時に際して緊急的に制定されたものです。時代の変遷と共に、戦後の刑事訴訟法改正でもこの制度は引き続き残存しました。

実例

歴史的な事件において、検面調書が重要な役割を持つことがありました。たとえば、東京佐川急便事件では、特定の検面調書が法廷で読み上げられ、重要な事実が明らかにされました。また、神戸連続児童殺傷事件においても、検面調書が流出し、その詳細が広く知れ渡る結果となりました。これらの事例は、検察官面前調書がいかに社会的影響を持つ文書であるかを物語っています。

関連する項目

検察官面前調書に関連する用語として、裁判官面前調書や司法警察員面前調書、自白法則、伝聞証拠禁止の原則が挙げられます。これらの概念や制度が、刑事司法の中でどのように機能しているかを理解することが、検察官面前調書をより深く理解するための鍵となるでしょう。

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