楡井久

楡井久について

楡井久（にれい ひさし、1940年10月 - 2021年1月28日）は、日本における著名な環境地質学者であり、多岐にわたる研究と実務活動を通じて、地質学の発展に寄与してきました。福島県会津地方に生まれた彼は、大学で地質学を学びました。1970年に千葉県の職員となり、地盤沈下や地質汚染、液状化などの調査及び対策に参加し、約30年の長きにわたってその分野に携わりました。

彼のキャリアの中で、1976年から千葉県水質保全研究所の地質環境第一研究室の室長を務め、その後退職。当時の実績や専門知識を活かし、1998年4月から茨城大学に転職し、広域水圏環境科学教育研究センター陸水域環境自然史分野の教授として着任しました。2006年には定年退職を迎え、特定非営利活動法人日本地質汚染審査機構の理事長に就任し、専門性を基にした活動を続けました。しかし2021年1月28日、彼はこの世を去りました。

千葉セクション登録申請を巡る動き

楡井は、千葉セクションの国際標準模式層断面および地点として「チバニアン」を登録する動きに対して、当初は積極的に支持を表明していました。ところが、2010年代後半になると、申請を推進している研究グループに不適切な点があるとの見解を示し、申請を進めるべきではないと警鐘を鳴らしました。

研究団体「古関東深海盆ジオパーク認証推進協議会」の会長を務める中、2018年1月、民有地においてコンクリートブロック製の階段を設ける許可を得ましたが、これが天然記念物としての指定を目指す市原市との間で議論を呼びました。市原市は、現状変更に関して困惑し、その対応に追われることとなりました。

さらに2019年5月、楡井は民有地の所有者からの借地権を公表し、その結果、他の研究者の自由な立ち入りを妨げる可能性について言及しました。この事が、国際標準模式層断面の登録に向けた障害となり、申請手続きが一時中断される事態を招きました。

この状況を受けて、2019年9月19日には、市原市が提案した研究者の立ち入りを妨げることを禁じる条例案が全会一致で可決されました。この動きは、「古関東深海盆ジオパーク認証推進協議会」の活動が、「ジオパーク活動の趣旨から外れた行動」とされ、厳しい批判を受けることとなります。

そして、2020年1月17日、韓国において開催された国際学会の理事会で投票が行われ、千葉セクションの国際標準地への登録が正式に認められ、「チバニアン」と名付けられることが決定しました。

楡井久の活動は、環境地質学や地質保全に大きな影響を与えただけでなく、彼の業績は学界だけでなく、地域社会にも広く認知されるものとなっています。彼が残した足跡は今後の研究や教育の礎となることでしょう。

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