楢崎勤

楢崎勤

楢崎勤（ならさき つとむ）は、1901年11月7日に山口県萩市に生まれ、1978年12月1日に没した、昭和時代の編集者であり小説家です。

生涯

楢崎は同志社大学を中退後、1925年に新潮社に入社しました。彼は『新潮』の編集者としてその才能を発揮し、特に太平洋戦争末期の1944年から1945年にかけては、言論活動や出版が困難な状況下で編集長として雑誌を率いました。この時期、彼は文化を守り、文学の灯を絶やさないために尽力したと評価されています。

編集者としての活動と並行して、楢崎は新興芸術派の小説家としても活動しました。彼の作品は、当時の社会状況や人々の感情を反映したものであり、文学界に一定の影響を与えました。戦後まもなくは、太宰治の担当編集者であったことでも知られています。太宰治の作品に深く関わり、その才能を世に送り出す上で重要な役割を果たしました。

その後、楢崎は読売新聞社に移籍し、ジャーナリストとしての道を歩みました。彼は新聞記者として、社会の様々な出来事を報道し、その視点を通じて読者に情報を提供しました。

著書

楢崎勤は、編集者としての活動に加えて、数多くの小説や評論を執筆しました。以下に代表的な著書を挙げます。

相川マユミといふ女（1930年）
神聖な裸婦（1930年）
肉体の画廊（1933年）
グレェタ・ガルボ（1934年）
わが歌に翼ありせば（1936年）
蘆（1940年）
希望（1940年）
美しき日（1943年）
若樹（1945年）
文學鑑賞 世界名著の人と作品（1947年）
別れの港（1949年）
女性のための文学鑑賞（1950年）
作家の舞台裏 一編集者のみた昭和文壇史（1970年）

これらの著作は、彼の文学的才能を示すものであり、当時の文学界における彼の位置づけを理解する上で重要な資料となっています。

伝記

楢崎勤の生涯については、以下の伝記で詳しく知ることができます。

大村彦次郎『ある文藝編集者の一生』（2002年、筑摩書房）
* 大村彦次郎『文壇さきがけ物語 ある文藝編集者の一生』（2013年、ちくま文庫、上記の新版）

これらの伝記は、楢崎勤の人物像や業績を深く掘り下げたものであり、彼の生涯に関心を持つ人々にとって貴重な情報源となっています。

楢崎勤は、編集者、小説家、ジャーナリストとして多岐にわたる活動を行い、昭和の文壇に大きな足跡を残しました。彼の功績は、今後も文学史の中で語り継がれていくことでしょう。

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