極光 (航空機)

極光（きょくこう）

極光は、第二次世界大戦末期に日本海軍で運用された双発の夜間戦闘機です。その名称は自然現象のオーロラに由来しています。この機体は、米軍のコードネームで「フランセス」とも呼ばれ、愛媛県の須賀公園ではそのプロペラと基部が屋外展示されています。

概要

1943年5月、日本海軍は陸上爆撃機「銀河」の発動機を改造して夜間戦闘機を開発するよう川西航空機に指示しました。その結果、1944年5月に試作機「試製極光（P1Y2-S）」が完成し、6月には海軍に引き渡されました。極光と銀河の主な違いは以下の点にあります：

• - エンジンを「誉」から「火星二五型」に変更し、エンジンカウリングの形状も再設計
• - 胴体に20mm機関銃を2丁搭載し、後方の旋回銃は廃止
• - 爆弾を搭載しない設計
• - 引き込み式尾輪を装備

また、長距離飛行の必要がなかったため、燃料タンクは小型化されました。さらに、一部の機体にはB-29爆撃機を迎撃するためのレーダーも装備されていました。

性能と量産

海軍の審査によれば、極光は銀河と比較して最大速度や上昇性能が劣っていましたが、エンジンの信頼性が高かったため、夜間戦闘機としての利用が許可され、量産が開始されました。生産は、中島飛行機で銀河として生産された機体を川西で極光仕様に改造する方法で行われました。1944年末から一部が部隊に配備されましたが、B-29迎撃には速度や上昇能力、さらには高空性能が不足していたため、実戦では期待される戦果を上げることができませんでした。

結果として、1945年4月には極光の生産が中止され、その後の機体は、再び爆装を可能にした「銀河一六型」として生産されることになりました。最終的に、極光及び関連機体の製作数は96機に達しました。

名称の由来

歴史的に、銀河の誉搭載型の夜戦機は「白光」として知られることが多かったのですが、後の文書分析から、初期の川西製夜戦機が「白光」と呼ばれたことが明らかになりました。この名称は「月光」と混同されることから、「極光」という名称に改称されたという説が現在では有力です。ただし、出版されている書籍の多くでは、異なる機体を白光として分類しているため、名称に関する解釈には注意が必要です。

諸元

記号：P1Y2
機種用途：夜間戦闘機
設計：空技廠、川西航空機
形式：双発中翼単葉
乗員：3名
全長：15.00 m
全幅：20.00 m
全高：4.30 m
主翼面積：55.0 m2
全備重量：10,500 kg
動力：火星二五型空冷複星14気筒エンジン
出力：1,850 HP
プロペラ：3翅 H.S定速
最大速度：550 km/h
実用上昇限度：10,000 m
航続距離：3,900 km
武装：九九式 20mm機銃 胴体上部×2、機首×1

関連項目

戦闘機一覧
* 銀河

極光は、当時の技術的背景や戦争の状況を反映した一例であり、日本の航空機開発史において重要な役割を果たした機体と言えるでしょう。

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