極楽寺 (亀岡市河原林町)

極楽寺（ごくらくじ）

極楽寺は、京都府亀岡市河原林町に位置する臨済宗東福寺派の寺院です。静かな山間に佇むこの寺は、その歴史と地域社会との結びつきの深さで知られています。

歴史

極楽寺は、応永10年（1403年）に在泉希譲によって開基されたと伝えられています。その後、寛文2年（1662年）に菊隠和尚の時代に現在の場所に移転しました。しかし、江戸時代に入ると寺は徐々に荒廃していき、明治初年の廃仏毀釈の風潮の中で本堂や庫裏の傷みが深刻化しました。

明治時代に入り、荒廃が進んだ極楽寺でしたが、地域住民からの寄進によって再建されました。特に、日露戦争や度重なる洪水に見舞われる中で、浄財集めは困難を極めましたが、当時の住職の熱意と尽力により、明治44年（1911年）に本堂が再建されました。この再建には、多くの人々の支えがありました。

建造物

極楽寺には、以下の建造物があります。

本堂：瓦葺の入母屋造りの平屋建てで、間口は六間、奥行は五間あります。棟木に書かれた般若心経は、霊堂和尚によるものです。
門
庫裏
鐘楼

文化財

極楽寺には、唐の呉道子の書によるという釈迦涅槃図が所蔵されています。これは貴重な文化財として大切に保存されています。

地域社会との関わり

極楽寺は、地域社会との繋がりが非常に深い寺院です。特に、昭和初期には、地域住民の生活改善に大きく貢献しました。

1929年（昭和4年）、極楽寺が属する勝林島部落では、若者の風紀の乱れが問題となっていました。そこで、「夜10時に鐘を鳴らし、それを合図に皆が就寝する」という提案が採用されました。極楽寺の鐘が毎夜10時に鳴らされるようになると、若者の夜遊びは減少し、部落の治安が改善されました。

この取り組みは、近隣の河原尻部落にも影響を与えました。河原尻部落では、冬は朝5時、夏は4時半頃に早起きの鐘を鳴らすことになりました。これにより、河原林村には朝は宝光寺、夜は極楽寺の鐘が鳴り響くようになり、地域住民の勤労意欲を刺激し、在郷軍人会の活動活発化、道路修繕の定期化、消防組による10年無火災など、様々な良い影響をもたらしました。その結果、河原林村は東京朝日新聞から優良壮丁村として表彰されるまでになりました。

極楽寺の鐘の音は、地域住民の生活に深く根付き、人々の心を繋ぐ役割を果たしました。これは、寺院が単なる宗教施設ではなく、地域社会の文化的な中心としての役割を担っていたことを示す好例と言えるでしょう。

まとめ

極楽寺は、その長い歴史の中で、地域社会と密接に結びつきながら発展してきました。本堂の再建や地域住民の生活改善への貢献など、様々なエピソードが残されています。亀岡市を訪れる際には、ぜひ極楽寺に立ち寄り、その歴史と文化に触れてみてください。

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