極楽寺 (名古屋市)

極楽寺（ごくらくじ）

極楽寺は、愛知県名古屋市にある単立の寺院です。山号は教報山、本尊は恵心僧都の作と伝えられる阿弥陀如来坐像です。正式には教報山 一心院 極楽寺と称します。

歴史

元々は尾張国葉栗郡極楽寺村に位置し、長承年間（1132年 - 1135年）に良忍によって創建されたと伝えられています。当初は大念仏宗の寺院でした。法然が滞在したこともあるとされ、長い歴史を持っています。

しかし、天文元年（1532年）8月に発生した木曽川の洪水によって寺は流失してしまいました。その後、慶長年間に空朔教意によって再興され、慶長9年（1604年）の秋に現在の場所へと移されました。

文政2年（1819年）には、「圓光大師安居遺跡の碑」が山門前に建立されました。この碑は、2020年現在も現存しており、極楽寺の歴史を今に伝える貴重な遺構となっています。

近代

明治時代には、本堂の他に庫裏、書院、座敷、茶室、地蔵堂、鐘楼などがあり、清須越しとされる山門も存在していました。しかし、2020年現在では本堂以外の建物は残っておらず、かつての境内地の多くは商業地などに利用されているほか、一部は市道となっています。時代の流れとともに、寺の姿も大きく変化しました。

2021年には、浄土宗西山禅林寺派から単立寺院となりました。これにより、宗派に属さない独立した寺院として、新たな道を歩み始めています。

参考文献

名古屋市役所、『名古屋市史 社寺編』、1915年7月20日
堀由蔵『大日本寺院総覧 下巻』名著刊行会、1966年12月10日

極楽寺は、創建から現代に至るまで、様々な歴史的変遷を経てきた寺院です。木曽川の洪水による流失、再興、そして近代における境内地の変化など、数々の困難を乗り越え、現在も地域の人々に親しまれています。圓光大師安居遺跡の碑は、その歴史を物語る貴重な証であり、訪れる人々に静かな感動を与えています。

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