良忍
良忍（りょうにん） - 融通念仏宗の開祖
良忍は、延久5年1月1日（1073年2月10日？）に生まれ、天承2年2月1日（1132年2月19日）に亡くなった平安時代後期の僧であり、天台宗に属する重要な宗教者です。彼は融通念仏宗の開祖として知られ、聖応大師とも呼ばれています。尾張国知多郡の領主・秦道武の子として生まれた良忍は、後に良仁とも書かれることもあります。
良忍の生涯において、彼は比叡山の東塔にある常行三昧堂の堂僧となり、雑役を兼ねながら良賀に師事し、不断念仏を修めていきました。また、禅仁や観勢から円頓戒脈を相承し、円頓戒の復興にも尽力しました。22歳から23歳の頃には、京都の大原に隠棲し、念仏三昧に励むかたわら、来迎院や浄蓮華院を創建したと言われています。他にも、分裂していた天台声明の統一に尽くし、大原声明を完成させるという業績も残しました。
1117年（永久5年）、良忍は阿弥陀仏の示現を受け、「1人の念仏が万人の念仏に通じる」という考えを基に融通念仏を創始しました。彼の教えでは、称名念仏を通じて浄土に生まれることが説かれており、結縁した人々の名前を記載した名帳を持って各地で勧進を行っていました。その活動が広まり、信徒たちに支持されるようになりました。
良忍の活動の中でも特に注目されるのが、四天王寺に参籠した際に見た霊夢によって、摂津国住吉郡平野庄（現在の大阪市平野区）の領主坂上広野の邸宅地に開いた修楽寺が、後に融通念仏の総本山となる大念仏寺の前身であることです。この事実は良忍の信仰の広まりと彼の教えの力強さを物語っています。
彼の崇高な活動が認められ、1773年（安永2年）には聖応大師という諡号が贈られました。良忍の遺産は、現在の融通念仏宗に多大な影響を与え続けています。彼の教えは浄土教の理念と深く結びついており、念仏の重要性を広める一助となりました。
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