極楽寺 (長野県木祖村)

法城山 極楽寺：歴史と文化が息づく古刹

極楽寺は、長野県木曽郡木祖村薮原に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。法城山と号し、木曽西国三十三観音霊場の三番札所として知られています。本尊は釈迦如来で、脇侍として迦葉尊者と阿難尊者を配しています。

歴史

極楽寺は、元亀・天正年間（1570～1592年）に薮原郷主の古畑十右ェ門正貫が開基し、木曽福島の興禅寺から茂林を勧請して開山されました。当初は木曽川西岸の倉籠に位置し、大龍山禅林寺と称していましたが、度重なる水害を避けるため上町裏に移転。「水を去って土と成す」という意を込めて、法城山 極楽寺と改号しました。

寛文2年（1662年）には、薮原宿の大火により類焼。その後、寛文4年（1664年）に中町裏へ移転しました。貞享3年（1686年）には、薮原宿の本陣主である寺嶋勘右ェ門が現在の境内を寄進。元禄4年（1691年）に堂宇が建立されました。元禄11年（1698年）には、山門が建立され、村人の篤志により涅槃図が寄贈されました。

また、極楽寺はアララギ派の歌人たちが修養のため訪れたことでも知られています。寺の霊廟には、お六櫛を発明した女性、お六の位牌が納められています。

本堂

元禄4年（1691年）7月に建立された本堂は、昭和17年（1942年）まで茅葺屋根の方丈形式でしたが、大改修により桟瓦葺に改められました。桁行17m、梁間16.4mの建物で、内部も修復されています。棟札には建立の経緯や関係者の名が記されています。平成13年(2001年)にも大改修が行われました。

本尊と諸像

本尊は木造の釈迦如来座像で、像高は37cm。金箔の厨子に安置されています。平安時代末期の作と伝えられていますが、詳細は不明です。本尊の右側には、開基である茂林和尚の像が安置されています。また、本堂の北端には地蔵菩薩立像が安置されており、岡田五郎治忠保が京都で入手し寄進したと伝えられています。厨子は黒漆塗りで、純金の金具が施された豪華な造りです。

位牌堂

昭和55年（1980年）に本堂内の位牌堂が改築されました。間口九間、奥行九間の広さがあります。

境内

境内には、元禄11年（1698年）に造営された山門、昭和31年（1956年）に改築された庫裏、観音堂、鎮守堂などがあります。

山門

三間一戸の四脚門で、銅板葺の屋根が特徴です。禅宗様式を取り入れた簡素でまとまりの良い建築で、昭和31年(1956年)に改築されています。

観音堂

本堂の北側に接する建物で、地蔵菩薩像や観世音菩薩像などが安置されています。格天井には、藤田嗣治と近藤浩による64枚の天井画が納められています。

鎮守堂

観音堂の裏にあり、半僧坊・秋葉権現・妙見菩薩が祀られています。

庭園

小堀遠州の流れをくむ庭園師が作庭した「遠州流の庭園」があります。三段の滝や不動石、中島のある池などが配され、四季折々の風景を楽しむことができます。

碑

境内には、「禁葷酒の碑」や「滅却彌天罪の碑」などの石碑があります。「滅却彌天罪の碑」は、江戸時代に大名行列が通る際、大名が駕籠から片足を出して敬意を表したと伝えられています。

寺宝

極楽寺には、涅槃図、白隠禅師の書と達磨大師の絵、願王和尚の書、寄せ書きなどの寺宝があります。涅槃図は元禄11年の作で、多くの人々の名前が記されています。

文化財

極楽寺の本堂と山門は、木祖村の有形文化財に指定されています。

末寺

林照寺（松本市）が極楽寺の末寺です。

極楽寺は、豊かな自然に囲まれた静かな場所にあり、歴史と文化に触れることができる魅力的な寺院です。木祖村を訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

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