超長波

超長波（VLF）とは

超長波（VLF：Very Low Frequency）とは、周波数が3kHzから30kHzの範囲にある電波を指します。この電波は、波長が10kmから100kmと非常に長く、ミリアメートル波とも呼ばれます。超長波はその特性から、特定の用途で重要な役割を果たしています。

超長波の特徴

超長波の主な特徴は以下の通りです。

周波数帯域: 3kHz～30kHz
波長: 10km～100km
水中透過性: 水中を比較的深く（10～40m程度）まで透過する性質を持つ。
低速信号: 帯域幅が狭いため、高速な信号の送信には不向き。

超長波の利用

超長波は、その特性から以下の様な用途で利用されています。

1. 潜水艦との通信: 超長波は水中への透過性が高いため、水面付近の潜水艦との通信に利用されます。これにより、潜水艦は水中で安全に通信を行うことができます。ただし、水深や塩分濃度によって透過距離は変化します。
2. オメガ航法: 世界規模の航法システムであるオメガ航法にも利用されました。複数の超長波局からの信号を受信することで、航空機や船舶は自身の位置を特定できました。
3. 標準電波: 時間や周波数の標準となる電波の送信にも利用されます。これにより、正確な時間情報を広範囲に提供することができます。

送信設備

超長波の送信には、非常に大規模な設備が必要です。アンテナは巨大で、送信出力も大きいため、有事の際には攻撃対象となるリスクがあります。

そのため、アメリカ海軍では、TACAMO（Take Charge And Move Out）計画において、航空機による通信中継を検討し、E-6 マーキュリーを開発しました。これは、地上施設が攻撃された場合でも、安全に通信を維持するための対策です。

受信方法

超長波を受信する際には、スーパーヘテロダイン方式などの受信機が用いられます。また、適切なアンテナと同調回路を使用すれば、アナログ-デジタル変換回路を通じて復調することも可能です。これにより、比較的簡単に超長波信号を受信できるようになります。

超長波を利用する施設

超長波を利用する主な施設には以下のものがあります。

えびの送信所: 日本の宮崎県えびの市にある送信所で、22.2kHzの超長波を送信しています。
ヴァールベリの無線局: スウェーデンのヴァールベリにある無線局です。
アルファ航法: かつて存在した航法システムで、11.9kHzから15.6kHzの超長波を使用していました。
依佐美送信所: かつて存在した日本の送信所で、17.442kHzの超長波を送信していました。
* 対馬オメガ局: かつて存在した日本のオメガ航法局で、10.2kHzから13.6kHzの超長波を使用していました。

これらの施設は、超長波の特性を活かし、様々な用途に貢献してきました。現在では、一部の施設が閉鎖されていますが、超長波の利用は依然として重要な役割を果たしています。

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