楽就

楽就（がく しゅう）は、後漢末期の動乱期に袁術の配下として活躍した武将です。生没年は不明ですが、建安2年（197年）に戦死したことが記録されています。

正史における楽就

正史『後漢書』や『三国志』の記述によると、楽就は袁術の部将として登場します。建安2年（197年）9月、曹操が自ら軍を率いて陳国に侵攻した際、袁術は自軍の将である橋蕤（き ぜい）に加え、李豊（り ほう）、梁綱（りょう こう）、そして楽就の3人を陳国に残し、自身は寿春へと逃れました。この時、楽就は他の将軍たちと共に曹操軍を迎え撃ちましたが、敵わず敗北し、戦死しました。

この短い記述から、楽就は袁術軍の将として、曹操軍との戦いの中で命を落としたことがわかります。正史における彼の事績は、この戦死の記録以外にはほとんど残されておらず、その人物像はあまり詳細には知られていません。

小説『三国志演義』における楽就

一方、小説『三国志演義』では、楽就はより詳細に描かれています。物語の中で、楽就は李豊、梁剛（正史の梁綱）と共に呂布討伐の際に袁術軍の督戦官を務めたとされています。また、曹操軍が寿春に攻め込んできた際には、袁術の命により、李豊、梁剛、陳紀と共に寿春城を守備する役割を担いました。

しかし、曹操軍の猛攻の前に寿春城は陥落し、楽就らは城内の市場に引き出されて斬首されるという悲劇的な最期を迎えます。この小説での描かれ方は、正史とは異なり、楽就がより悲劇的な運命をたどる人物として描かれていることが特徴です。

小説『三国志演義』における楽就の描かれ方は、彼の武将としての能力よりも、袁術軍の敗北と悲劇的な結末を強調する役割を担っていると言えるでしょう。彼の名前は、正史では短い記述でしか登場しませんが、『三国志演義』では、より劇的な形で物語に組み込まれています。

まとめ

楽就は、正史と小説で描かれ方が異なる人物の一人です。正史においては、袁術配下の武将として曹操軍との戦いで戦死したことのみが記されていますが、小説『三国志演義』では、より詳細な設定が与えられ、袁術軍の悲劇的な運命を象徴する人物として描かれています。

彼の短い生涯は、後漢末期の動乱の中で多くの武将たちが消えていったことを示す一例と言えるでしょう。楽就という名前は、歴史の表舞台に大きく立つことはありませんでしたが、その存在は、三国時代の激動を物語る歴史の一部として、現代に伝えられています。

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