楽屋裏

『楽屋裏』とは

『楽屋裏』（がくやうら）は、魔神ぐり子による日本の漫画作品です。『コミックZERO-SUM』（一迅社）にて2006年から連載が開始されました。その後、2009年には続編として『楽屋裏-貧乏暇なし編-』と改題され、さらに商業誌では描けないネタを盛り込んだ同人誌版も発行されています。

作品概要

この作品は、作者自身の日常を4コマ漫画形式で描いたもので、その大半が作者と担当編集者であるコヤナギとの間で繰り広げられる、毒のあるユーモラスなやり取りで構成されています。

連載開始の経緯

元々は読み切りとして描かれた作品でしたが、FAXで送付されたプロットを編集長が絶賛したことがきっかけで、約1時間ほどで連載が決定しました。連載が決定する前の第1話の終わりでは、「来月マンガが載るかどうか分からない」と締めくくられており、作者が編集者に媚を売るためか、2度ほどイケメン風に描かれたコヤナギの素顔が描かれているのが特徴です。

単行本

コミックスは2010年6月現在で全3巻、続編の「貧乏暇なし編」が2014年6月現在で全3巻刊行されています。「楽屋裏」としては完結しており、コミックス1巻は、峰倉かずや、東まゆみ、武梨えりなど、多くの漫画関係者による推薦文が蛍光ピンクの帯に書かれており、表紙の大部分を覆い隠すという大胆なデザインになっています。この帯の大きさは、推薦文を依頼された作家によると事後承諾だったようです。この帯は、第2巻では青色、第3巻ではオレンジ色と、巻を追うごとに色を変えて継続されています。

その他

漫画家にも多くの愛読者がおり、峰倉かずや、高河ゆんを始めとする『コミックZERO-SUM』の同僚作家だけでなく、松林悟なども愛読していることが知られています。また、続編ではない方の「楽屋裏」は文庫化されており、2015年7月時点で上下巻が刊行されています。2018年11月23日からは「楽屋裏-講談社地獄篇-」というタイトルで、講談社の『コミックDAYS』にて毎週金曜日更新の連載が開始されました。

登場人物

主要人物

魔神ぐり子（まがみ ぐりこ）
本作の主人公。神奈川県在住の腐女子。実家は宮崎県にあり、父親が暮らしています。母親は他界しており、姉は名古屋で夫と子供と幸せに暮らしていますが、兄は失踪したらしいです。金に目がなく、ぐうたらな性格で、完成原稿を催促する担当編集者（コヤナギ）との電話で暴言を吐きまくります。自画像はピンクのドレスを着た金髪縦ロールのお姫様で、東まゆみと仲が良いです。小柳からは主に豚と罵倒されています。
かなりの動物好きで、愛猫のるるを溺愛しており、怪我をした野鳥のヒナを保護して熱心に世話をしていたこともあります。幼い頃からの夢は動物園の飼育員になることでした。ダイエットへの情熱も凄まじく、連載中にビリーズブートキャンプを始め、15kgのダイエットに成功しています。握手会では、様々な層のファンが訪れており、コアなファンも多いようです。雑誌連載時はるるというメスの猫と暮らしていましたが、2015年12月に他界しました。
小柳好夫（こやなぎ よしお）
本作の準主人公。通称・コヤナギ。1975年生まれ、富山県出身。元ゼロサム編集長で、現在は魔神ぐり子の担当編集者です。魔神の罵倒にも臆することなく攻撃的な台詞を浴びせ、不毛なやり取りを繰り広げます。作中でのやり取りは、実際に行われているものと大差ないそうです。かつては『ぱふ』の編集者でした。
作中では剣道の面を着用しており、イベントでも着用することがあるそうです。顔の表情を表さず、毒のある言葉のギャップが非常に強烈なキャラクターです。常に忙しいらしく、久しぶりに休暇を得られる際は、はしゃぎにはしゃいだ挙句に翌日の仕事に備えて寝てしまうそうです。キャバクラとジャンクフードが大好きで、「貧乏暇なし編」で結婚しています（※妻はうさぎの顔で描かれています）。後に猫2匹（だいずとにがり）を飼い始めました。アニメ版『破天荒遊戯』には、プロデュース協力で参加しています。2018年3月に魔神と打ち合わせした折に一迅社を退社していることが分かり、現在は講談社に勤務しています。

講談社地獄編からの登場人物

米山（よねやま）
講談社の編集長。作中での顔は大仏になっています。本編での登場は少ないですが、魔神のTwitterで行われる更新告知ツイートのおまけ漫画に登場することが多いです。

一迅社時代の登場人物

小林（こばやし）
2012年7月に入社した魔神ぐり子の元・担当編集者。元講談社勤務。既婚者で一児の父。猫2匹（ロシアンブルーのシアンと種類不明のうなぎ）を飼っています。ヘビースモーカーで、かつパチスロとTIGER & BUNNYが好きです。魔神の担当になるにあたって、本人に「あることないことネタにするけど、いいのか？」と問われ「好きにやってください」と快諾したらしいです。楽屋裏の連載が100回を迎えた直後に一迅社を退社し、別の出版社に移りました。小柳と同じく、顔に作中では目出し帽を着用しています。
杉野庸介（すぎの ようすけ）
『コミックZERO-SUM』の前・編集長。魔神曰く「サオ屋のオッサン」のような顔。第3巻登場人物紹介では「リアルムスカ」と言われています。登場するときは変なメガネをかけています。魔神によく髪の毛の薄さをネタにされています。連載途中で社長業に専念するようになったためか、出番が減っています。「貧乏暇なし編」では猫を2匹（共にベンガル。名前はサンマといわし）飼い始め、文字通りネコかわいがりしています。現在は社長業を退き、再び編集業務に携わっています。

その他の登場人物

魔神の父
タクシーの運転手。現在は宮崎県で一人暮らしをしています。スキンヘッドで、1000万円の保険に入ったり、独身の娘を心配して見合いを勧めたりと、堅実で常識人ですが、やんちゃな過去を持っているらしいです。猫が苦手で、あまりるるに近づけず、終には部屋に鍵までかけたそうです。釣りが唯一の趣味だったらしいですが、ある理由からパッタリとやめてしまっています。
大和田（おおわだ）
魔神父の友人の息子で、よく魔神家に遊びに来ていたそうです。魔神にタイプの似た姉と弟がいます。非常に冷静で淡白な性格。初登場時は18歳のフリーターでしたが、コンピュータ関連会社に就職しサラリーマンになるも、「貧乏暇なし編」第2巻で退職しました。魔神のプライベート時のツッコミ役的存在で、料理が趣味だそうです。魔神の同人誌の写植を担当することもあります。「貧乏暇なし編」では魔神が神奈川へ引っ越したため出番が減るも連絡は取り合っているようで、たびたび登場しています。諸々の出来事で魔神からはゲイ扱いをくらっています。
井上マサト（いのうえ まさと）
神奈川に転居以来頻繁に登場する友人の漫画家。腐女子。スピンオフ作品『漫画家デビューはしたけれど』では主人公を務めています。少年誌でデビューしましたが連載を取るには至っていません。「貧乏暇なし編」第2巻では短期連載の獲得に成功しました。平蔵の現飼い主です。後にメスの野良猫を保護し「くめ」を名付けて飼い猫としています。講談社地獄編にも「魔神の友人」としてデフォルメした等身大の猫風の姿で登場しています。現在はフィギュア原型師「さと」として活動しており、漫画活動は休止中です。
風魔（ふうま）
魔神の愛犬。オス。絵柄ではハスキーっぽく描かれていますが、実際は甲斐犬に近い風貌です。人懐っこく元気でやんちゃな性格。主に各話表紙に登場します。特に2巻では微笑ましいエピソードが描かれていますが、その後突然体調を崩しその翌日に亡くなりました。
るる
魔神の愛猫。メス。推定6歳で、作者が知人からもらいました。戸を開けても外に出ない室内猫です。後ろ足で立ち、前足でドアや襖を開ける利口な猫です。漫画を描いていたり、コヤナギとやりとりしている魔神の傍らに描かれることが多いです。魔神の精神状態によっては「黒王」「黒王号」などとも呼ばれます。その後2015年12月に他界しました。
平蔵（へいぞう）
井上の愛猫。オス。推定2歳で、作者が近所で保護しました。るるとは相性が悪いらしいです。非常に元気がよく大食漢で、体重は6kgほどあります。一時は太りすぎの結果、体調を崩し、猫に好まれないダイエットフードを処方されてもパクパク食べました。
くめ
第3巻で登場した井上の愛猫その2。元野良猫でキジトラのメス。抱っこが嫌いです。
モブ編集者
一迅社時代から登場する小柳や小林の同僚や、魔神が他社への持ち込みなどで出会った編集者たち。真面目な者もいれば自社優先な者もいるなど、多種多様な人物が登場します。

単行本情報

楽屋裏

1巻：2007年2月15日発行（1月25日発売） ISBN 978-4-7580-5269-6
2巻：2008年7月15日発行（6月26日発売） ISBN 978-4-7580-5357-0
3巻：2010年3月5日発行（2月25日発売） ISBN 978-4-7580-5488-1

楽屋裏-貧乏暇なし編-

1巻：2011年8月5日発行（7月25日発売） ISBN 978-4-7580-5625-0
2巻：2013年2月5日発行（1月25日発売） ISBN 978-4-7580-5787-5
3巻：2014年6月5日発行（5月24日発売） ISBN 978-4-7580-5923-7

文庫版

上巻：2015年6月25日発売 ISBN 978-4-7580-3069-4
下巻：2015年7月25日発売 ISBN 978-4-7580-3100-4

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