榊原弥生

榊原弥生: 大正デモクラシーの婦人運動家

榊原弥生（さかきばら やよい、1886年4月7日 - 1935年4月19日）は、女性の地位向上に尽力した日本の婦人運動家です。大正時代の京都において、市民的な女性運動が広がる中、彼女はその中心的な存在として数々の運動に参加し、女性の権利の拡充に向けた活動を推進しました。

生い立ちと教育

弥生は山形県鶴岡に生まれ、東京の明治女学校を卒業後、教員として日本各地の女学校に勤務しました。特に、熊本女学校や東京女子商業学校では、教育者としてキャリアを築く一方、兄の職業の関係で満州でも教鞭を取ることとなります。彼女の教育者としての経験は、後の活動に大きく影響を与えました。

婦人運動への参加

1919年7月、京都大学教授の厨川白村の勧めで、彼の妻や女性記者たちと共に「京都PL会」を設立しました。この団体は、知的階級の女性たちが集い、時事問題を討論し学び合う場となり、一時は200名を超える会員を抱えるほどに成長しました。同年11月には大阪婦人十日会と連携し、第1回婦人会関西連合会にも参加しました。

翌年、弥生は平塚らいてうが設立した「新婦人協会」に加入し、会の活動に尽力。この活動は、彼女の地位向上への関心をさらに高めました。同じ年に、成安裁縫学校で講師として教育活動を再開し、同時に京都の28の婦人会を統合して「京都婦人連合会」を設立しました。この連合会の大会では、女性の社会的地位向上を目指すことを公言しました。

1930年には、「婦人選挙権獲得同盟京都支部」を設立し、その幹事を務めるなど、選挙権獲得運動にも取り組みました。また、全関西婦人連合会の理事として活動し、婦人会のための会館建設を推進。1931年には、京都市連合婦人会館が完成しました。

最期と影響

1934年に京都連合婦人会を辞任後、弥生は1935年4月17日、脳脊髄膜炎により入院。医療の手厚い援助を受けながらも、同年4月19日に49歳という若さでこの世を去りました。生涯独身であった彼女は、早世した姉の子供たち2人を育て、その二人も彼女の最期を見取ることとなりました。

彼女の死後、京都連合婦人会はその長年の貢献を称え、初の婦人会葬を行うことに決定しました。1935年4月23日には、京都市連合婦人会館での告別式が執り行われ、千人以上の人々が彼女の遺志を偲ぶために集まりました。弥生の活動とその功績は、当時の女性運動に多大な影響を与えたと同時に、現代における女性の権利向上運動にとっても貴重な基盤となっています。

参考文献

• - 折井美耶子・女性の歴史研究会編著『新婦人協会の人びと』ドメス出版、2009年。
• - 光田京子他『京の女性史』京都府、1995年。
• - 光田京子他 著、京都橘女子大学女性歴史文化研究所編『京都の女性史』思文閣出版、2002年。

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