榊原悟

榊原 悟（さかきばら さとる）

榊原悟は、1948年5月3日生まれの日本の美術史学者であり、群馬県立女子大学の名誉教授として活躍しています。また、彼は岡崎市美術博物館およびおかざき世界子ども美術博物館の館長を務めており、その業績から近世日本美術と屏風絵に関する権威として広く知られています。

略歴

愛知県西尾市に生まれた榊原は、早稲田大学美術史学科を1972年に卒業しました。その後、同大学院の博士課程で学び、1979年には単位取得満期で退学となります。以降、サントリー美術館で主席学芸員としての経験を積んだ後、群馬県立女子大学文学部の教授に就任しました。

彼は2003年に「贈呈屏風の研究」により早稲田大学から文学博士の学位を取得し、同年に発表した著書『美の架け橋』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞するなど、その研究成果は広く評価されています。2010年4月には岡崎市美術博物館とおかざき世界子ども美術博物館の館長に就任し、地域の美術教育や子どもたちの芸術理解を深めるためのさまざまな活動を推進しています。

主要著書

榊原は多くの著書を通じて、美術史における重要なテーマを発信しています。1997年には『屏風絵の景色を歩く』を新潮社から出版し、屏風絵の魅力を伝えました。続いて、1998年には『日本絵画のあそび』を岩波新書から、2002年には『美の架け橋 異国に遣わされた屏風たち』をぺりかん社から発表しました。

彼の著作は、ただの研究書に留まらず、一般読者に向けた美術の楽しさや魅力を伝える内容が特徴です。例えば、『江戸の絵を愉しむ 視覚のトリック』（2003年、岩波新書）では、視覚的な楽しさとともに、江戸時代の絵画に秘められた技法や思考を読み解いています。2004年に発表された『日本絵画の見方』では、日本の絵画を鑑賞するための視点を提案し、2007年には『江戸絵画万華鏡・戯画の系譜』を青幻舎から刊行、江戸絵画にまつわる多様な視点を示しました。

また、榊原は2014年に『狩野探幽 御用絵師の肖像』を臨川書店から出版し、名画との向き合い方を探求しています。2018年には『屏風と日本人』を敬文舎から出版し、屏風絵と日本文化の関係を深く掘り下げました。さらに、1979年には鈴木規夫との共著『日本の七宝』を発表し、多岐にわたる分野での研究を行っています。

榊原悟は、屏風絵を通した日本美術の普及と教育に尽力し、その活動は多くの美術愛好者や学生に影響を与え続けています。彼の研究や著作は、今後も美術の理解を深める重要な礎となることでしょう。

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