榊正剛

榊 正剛（さかき せいごう）氏は、日本の行政官として長きにわたり国土交通行政に貢献し、その後、高速道路事業の要職を務めた人物です。1951年11月6日に兵庫県赤穂市で生まれ、淳心学院高等学校を卒業後、東京大学法学部で法律を学びました。1974年に同大学を卒業後、当時の建設省に入省し、キャリアを開始しました。

建設省、そして再編後の国土交通省において、榊氏は様々な要職を歴任しました。国土交通省大臣官房においては総括審議官を務め、省内の重要政策の調整に深く関わりました。2005年には内閣府に出向し、政策統括官として防災対策を担当。国の防災体制の強化に向けた重要な役割を果たしました。続く2006年からは国土交通省住宅局長として、建築士制度の見直しを含む住宅政策の推進に尽力しました。この時期の取り組みは、建築業界における専門性の確保や信頼性の向上に資するものとして注目されました。

2007年には国土交通省の総合政策局長に就任し、国土全体のグランドデザインや政策の企画立案を統括しました。さらに2008年には、大臣官房建設流通政策審議官の職務も兼任し、建設業や不動産業など、建設流通分野における政策課題に取り組みました。そして同年、国土交通審議官に昇任。これは国土交通省における事務次官に次ぐ重要なポストであり、榊氏は主に国土計画や北海道開発に関する政策の総括責任者として、広範な国の基盤整備計画を指揮しました。

2009年に国土交通審議官を最後に退官した榊氏は、翌2010年から東日本高速道路株式会社（NEXCO東日本）に活躍の場を移しました。当初は顧問としてその知見を提供していましたが、2011年には常務執行役員に就任し、経営の一角を担うこととなります。その後も昇進を重ね、2012年には取締役に就任し、常務執行役員として経営企画本部長を兼務。会社の長期戦略や重要施策の立案・実行を主導しました。2014年には代表取締役兼専務執行役員として引き続き経営企画本部長を務め、経営の中枢で手腕を発揮。そして2016年には代表取締役兼副社長執行役員に昇格し、引き続き経営企画本部長としてNEXCO東日本の経営全般において指導的な役割を果たしました。

高速道路事業における要職を退いた後も、榊氏は社会貢献を続けています。2020年には一般財団法人建設経済研究所の会長に就任し、建設産業の動向分析や政策提言に関与。また、日本不動産学会の顧問も務め、不動産分野の研究や発展に貢献しています。

これまでの長年の功績が認められ、2022年には瑞宝重光章を受章しました。これは、国や社会に対する顕著な功績を挙げた人物に贈られる栄典であり、榊氏のキャリアを通じての多大な貢献が公的に評価されたものです。

榊氏のキャリアは、建設省入省以来、国土交通行政の中核を担う数々の要職を経て、内閣府での防災政策、そして退官後の高速道路事業の経営、さらには建設・不動産分野の研究・提言活動に至るまで、国土の整備と社会基盤の発展に深く関わった道のりと言えます。その豊富な経験とリーダーシップは、多くの分野で重要な役割を果たしました。

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