榎原雅治

榎原雅治について

榎原雅治（えばら まさはる）は、1957年生まれの日本の歴史学者です。東京大学史料編纂所に所属し、教授として中世史の研究に携わっています。特に、中世日本の地域社会の構造や、交通史、室町幕府に関する研究で著名です。

学歴と職歴

岡山県出身の榎原氏は、岡山朝日高校を卒業後、1980年に東京大学文学部日本史学科を卒業しました。その後、1982年に同大学院人文科学研究科修士課程を修了し、博士課程を中退しています。東京大学史料編纂所では、助教授を経て教授に就任し、2010年から2013年まで所長を務めました。2003年には、「日本中世地域社会の構造」と題した研究で東京大学から博士（文学）の学位を授与されています。

研究内容

榎原氏の研究は、中世日本の社会構造や文化、政治に焦点を当てています。特に、地域社会のあり方、交通路としての東海道の役割、室町幕府の地方支配など、多岐にわたるテーマを扱っています。

日本中世地域社会の構造：中世の地域社会がどのように形成され、機能していたかを詳細に分析しています。
中世の交通史：東海道を例に、中世の交通が社会に与えた影響を考察しています。
室町幕府と地方社会：室町幕府の地方支配の実態と、それに対する地方社会の反応を研究しています。

歴史教科書問題への関与

榎原氏は、歴史教科書の内容についても積極的に発言しています。2001年に、新しい歴史教科書をつくる会の教科書が検定に合格した際、その内容に批判的な見解を示しました。特に、ペリー来航時に白旗を渡したとする記述に対して、「明々白々の偽文書である」と批判しました。この主張に対し、秦郁彦氏から反論を受けましたが、榎原氏はさらに再反論を行っています。

主な著書

『日本中世地域社会の構造』（校倉書房、2000年）
『中世の東海道をゆく 京から鎌倉へ、旅路の風景』（中央公論新社、2008年／吉川弘文館、2019年）
『室町幕府と地方の社会　シリーズ日本の中世史（13）』（岩波新書、2016年）
『地図で考える中世　交通と社会』（吉川弘文館、2021年）

共著・編著

『日本の中世 村の戦争と平和』（中央公論新社、2002年）
『日本の時代史 一揆の時代』（吉川弘文館、2003年）
『展望日本歴史 11 室町の社会』（東京堂出版、2006年）
『兼宣公記 第2』（八木書店古書出版部、2012年）
『室町幕府将軍列伝』（戎光祥出版、2017年）

榎原雅治氏の研究は、中世日本の社会や文化を深く理解する上で重要な貢献をしています。その学術的な業績と、歴史問題に対する積極的な姿勢は、多くの人々に影響を与え続けています。

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