構 (建築)

構（かまえ）とは

「構」とは、中世から近世にかけての日本の城郭において、敵の侵入を阻止するために設けられた区画のことを指します。この「構」は、しばしば「曲輪（くるわ）」と同じ意味で用いられることがあります。

構の種類

構には様々な種類があり、代表的なものとして、以下のようなものがあります。

透構（すきがまえ）: 城内が外部から見える構造を指します。敵から城内を見えやすくすることで、敵の侵入を牽制する効果があります。
黒構（くろがまえ）: 城内が外部から見えない構造を指します。城内の様子を敵に悟られないようにすることで、城の防御力を高める効果があります。

戦国時代の構

戦国時代に入ると、城本体だけでなく、城下町全体を土塁や堀で囲い込む「総構（そうがまえ）」が登場しました。これは、城だけでなく、城下町全体を防御することで、より強固な防御体制を築くことを目的としていました。

小田原城: 後北条氏が築いた小田原城は、総構で城下町全体を囲んでいました。これにより、小田原城は難攻不落の城として知られるようになりました。
江戸城: 徳川氏が築いた江戸城も、総構で城下町を囲んでいました。これにより、江戸の都市計画は、総構の内側に展開されることになりました。
御土居（おどい）: 豊臣秀吉が京都に築いた御土居も、総構の一種と見なされることがあります。御土居は、京都を囲む土塁であり、都市の防御と治水の両方の役割を担っていました。

江戸時代の構

江戸時代に入り、社会が安定すると、城と城下町が分離されるようになりました。これにより、城下町は、城郭の構の外側に形成されることが多くなりました。江戸城でも、既存の総構の外側に城下町が広がっていくようになりました。これは、都市の発展に伴い、城郭の防御機能よりも、都市の利便性を優先させるようになったことを示しています。

まとめ

「構」は、日本の城郭における重要な防御施設であり、その形態は時代や社会情勢によって変化してきました。戦国時代には、総構の登場により城郭と都市が一体化しましたが、江戸時代になると、城と城下町は分離し、都市は城郭の外側に発展していきました。このように、「構」は、日本の城郭史だけでなく、都市史を考える上でも重要な要素となっています。

参考文献

藤川昌樹「構」『日本歴史大事典 1』（小学館 2000年） ISBN 978-4-09-523001-6

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