樅ノ木は残った

樅ノ木は残った

『樅ノ木は残った』は、山[[本周五郎]]が著した歴史小説であり、江戸時代前期の仙台藩に起こった「伊達騒動」を中心に物語が展開されます。この作品は、従来は悪役とされていた原田甲斐を主人公に据え、彼がいかにして藩を守る忠臣として奮闘したかを描いています。物語は全4部から成っており、藩の乗っ取りを企む伊達兵部との密談が対話形式で盛り込まれ、緊迫感が増しています。

作品の概要

本作は1954年7月から1956年9月まで『日[[本経済新聞]]』に連載され、その後1958年に講談社から全2巻として刊行されました。1959年には毎日出版文化賞を受賞し、現在は新潮文庫版が流通しています。この新潮文庫版は累計100万部を超える人気を誇り、またNHKの大河ドラマなどで映像化されるなど、幅広く知られています。

ストーリー展開

物語の中心となる原田甲斐は、穏やかな日々を送る家臣の一人です。しかし、17世紀半ばの藩政はまだ確立しておらず、藩祖の血統を背景に権力闘争が繰り広げられていました。仙台藩の3代藩主伊達綱宗は、遊興を理由に若くして隠居を余儀なくされ、その権力は叔父の伊達兵部に移ります。この状況は、幕府の意向を示唆する噂が広がり、藩内は疑心暗鬼に包まれました。

兵部は綱宗の放蕩を隠すため、側近を暗殺するなどの策を講じますが、逃げた娘宇乃が原田によって助けられるなど、様々な運命が交錯します。甲斐は冷静さを保ちながら権力闘争に巻き込まれ、次第に彼は兵部の一派に取り込まれ友人たちとの関係もぎくしゃくしていきます。それでも、彼は職務を淡々とこなし続け、この図太い精神が彼の特徴となります。

緊迫した局面

物語の中で、藩内の権力を握る兵部の一派との対立が浮き彫りになります。最終的に兵部は幕府に上訴する事態を招き、これは藩にとって大きな危険を伴う行動でした。甲斐はこの状況を打破すべく、兵部から託された密約の書状を持って評定の場に向かいます。そこで彼の運命は狂い、劣勢に陥るとともに、書状が明らかになることで更なる惨劇を招くことになります。

最後の結末

史実によると、甲斐は評定の席で自身の命と引き換えに伊達氏一族を斬殺するという悲劇の結末を迎えます。これが「伊達騒動」として歴史に名を刻むことになりますが、彼の行動の背後には幕府の策略が潜んでおり、亡き後の宇乃は樅の木に癒しを求め、涙を流し続けるのみとなります。

映像化作品

この作品は何度も映像化されており、特に1970年のNHK大河ドラマが有名です。映像化にあたっては多くの優れた俳優が起用され、作品の深いテーマ性と緊迫感を継承しています。

参考文献

この作品はその文学的な価値からも多くの読者に長年愛され、関連する解説や資料が数多く存在します。今回の作品を通して、樅の木が持つ象徴的な意味もまた鑑賞しながら楽しんでもらえればと思います。

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