樋口欣三

樋口欣三（1931年 - ）は、日本の著名な英文学者であり、大阪市立大学の名誉教授です。大阪市で生まれ、大阪市立大学人文学部英文科を卒業後、同大学院文学研究科博士課程を単位取得退学しました。その後、大阪市立大学で助教授、教授を歴任し、名誉教授となりました。関西大学教授も務め、2000年に退職されています。

樋口先生は、18世紀から19世紀にかけての英国文学を専門とし、特にジェーン・オースティンやウォルター・スコットといった作家の研究に力を注ぎました。その研究は、単なる文学作品の分析に留まらず、当時の社会背景や思想、文化といった多角的な視点を取り入れたものであり、英国文学研究に新たな地平を切り開いたと言えるでしょう。

主な著書

『ジェーン・オースティンの文学 喜劇的ヴィジョンの展開』 (英宝社, 1984年): ジェーン・オースティンの作品における喜劇的な要素を深く掘り下げ、その文学的意義を明らかにしています。
『十八世紀イギリス小説の視点 幸福・富・家族』 (関西大学出版部, 2001年): 18世紀イギリス小説に描かれた幸福、富、家族といったテーマを、当時の社会状況と関連付けながら考察しています。
『ウォルター・スコットの歴史小説 スコットランドの歴史・伝承・物語』 (英宝社, 2006年): ウォルター・スコットの歴史小説を、スコットランドの歴史、伝承、物語といった要素から分析し、その文学的魅力を解き明かしています。

共編著

『イギリス小説 研究と鑑賞』 (共著, 創元社, 1976年):
『視座と構築 英米文学卒業論文のテーマ』 (杉本龍太郎, 内田能嗣共編集, 篠崎書林, 1984年)

翻訳

バジル・ウィリー『イギリス精神の源流 モラリストの系譜』(佐藤全弘共訳, 創元社, 1980年):
* A.L.ルケーン『カーライル』(教文館, 1995年):

これらの著書、共編著、翻訳書は、樋口先生の幅広い知識と深い洞察力を示しており、英国文学研究における重要な貢献となっています。

樋口欣三先生は、長年にわたり英国文学の研究と教育に尽力され、多くの研究者や学生に影響を与えました。その学術的な業績は、日本の英文学研究において、今後も長く語り継がれることでしょう。

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